あなたは失敗した時に、どのような行動をしていますか?
失敗を隠したり、失敗を人のせいにしたり…。そんなこと多いと思います。
この本を読むことで、失敗は仕組みで起こることを理解して、次に活用することができるようになるでしょう。
まさに、プロジェクトマネジメントには必要な仕組み作りに大きく役立つ書籍だと考えます。
多くの人がこの本を手に取り、実際に読んで学んで頂くことで、あなたのプロジェクトが成功に近づければと考えています。
一番大事なのは、失敗を見える化すること
誰でも失敗した時は焦る気持ち、隠したい気持ち、何とか気づかれないように挽回しておこうと動くのは自然の摂理です。
本書では、失敗した時の人間の行動に対して、医療業界と航空業界で比較しながら説明をしていますので、抜粋してご紹介をさせて頂きます。
失敗が認められないのはなぜか?
あなたは失敗をすぐに認めることができるでしょうか?
ここですぐに”YES”と答えられる人は、優良なシステムに守られた企業・業界に属していると思います。しかし、多くの人は答えは”NO”だと思います。私も以前は”NO”でした。
なぜ、失敗を認めることができないのかを考えてみましょう。
本書では、
失敗を認めることが難しい。それは自分が努力したから、失敗をするはずがないと思い込んでいることが挙げられている。
そして、権威がある人ほど、失敗に対して耐性が備わっていないとも記載されている。それは、努力で手にした権威を失ってしまうかもしれない、また自分のプライドが激しく揺さぶられるためであると説いている。
さらに、記憶自体を自分の都合が良いように編集可能であるため、自分が正しいと思い込み、ミスを隠している意識がないとも書かれている。
なぜ失敗を認められないのか?
- “自分は努力した” ため、失敗を認めることが難しい
- “自分には権威がある”と、激しくプライドが揺さぶられる
- “記憶は編集可能” であり、ミスを隠していると意識がない
まず、自分が失敗を認めることから始める必要があるが、それは失敗した人が認めることができるようにする人がある。
それを知るためには、失敗を隠すために人間がどのようなことをやるのかを知る必要があります。
失敗を隠すために人間がやることは何か?
失敗した時に取る行動を知ることで、自分が失敗した時、相手が失敗した時に適切に行動することができるようになります。
あなたが失敗した時には、どんな行動を取りますか?
本書では、
言い訳をすることが挙げられています。どうしても、自分ではなく周りに問題を求める傾向があったりします。
失敗をしないために、あらかじめゴールの設定を曖昧にしておいて、思っていたことと違っても周りには失敗や遅れていることをバレないように工作することもできます。
あと、自分が正しいと信じることで、失敗ではないと思い込みをするようにしたりもできます。
失敗を隠すために人間がやることは何か?
- “自分が悪くない”と言い訳を探すこと
- “最初から” 曖昧なゴールを設定して、失敗をしていることがわからないようにする
- “自分が間違えるわけがない”と、自分を正しいと信じ込む
失敗を隠す理由や手段を知ることで、失敗を認めてもらうために、どのような行動をするべきかを本書では説明されています。
失敗したことを認めてもらうためには?
あなたが失敗を正直に報告するためには、どうすれば良いでしょうか?
例えば、あなたが失敗を上司に報告した時に、どんな反応をされるのかに影響を与えませんか?
怒る上司であれば、怒られるぐらいならば隠してしまおうと思いませんか?
だから、失敗したことを正直に報告した人に、正直に報告したことを責めないことが重要になります。
その失敗が発生する原因を仕組みの問題として前向きに改善していきましょう。
失敗したことを認めてもらうために
- “失敗をしたのは、その人の責任のみではない”として、失敗を責めない。
- “失敗したのは仕組みの問題”として、失敗して改善できる機会として前向きに接する
では、どのように前向きに接するのか、失敗から学ぶ方法について解説していきます。
失敗から学ぶことができるのか?
失敗から学ぶためには、失敗したデータをどのように扱うかにかかっています。
私は失敗のデータを蓄積し、毎週振り返る時間を強制的に設けて、次の具体的な改善を翌週のプロセスには反映するようにしています。
本書では、失敗という宝の山から、本当のお宝である失敗しない仕組み作りについて、学ぶことができます。
ここでは一部紹介をしていきます。
失敗は「データの山」である
あなたは失敗をした時、もしくはチームが失敗をした時に、どのように対応していますか?
よく聞くのは、「次から気を付けます!」や「意識して取り組みます!」という回答です。
これはナンセンスです。人間は気を付けても同じことを繰り返しますし、別の人も同じ結果になることが多いです。
本書では、失敗を「データの山」と書かれていて、このデータを使いこなすことで、改善ができることが提唱されています。
確かにすべての失敗を1人が実施するには、人生は短いと感じます。
例えば、あなたの仕事にも無数の失敗するポイントがあると思います。それを先人は工夫をして後世に伝えているのです。
それは口頭の伝達の場合もあります。例えば伝統的な建築方法は今でも多く残っています。それは何か理論的なものではなく、技術を盗む、伝承するという形で後世に伝わっています。
また、書籍もそうです。本書でも失敗をした具体事例を掲載し、より臨場感がある失敗事例として紹介をされています。
要するに自分が経験していない失敗も
・先人が解決してきたので、今では失敗しないこと
・書籍で知識の習得や、疑似体験をすることで、失敗しないこと
になっているだけかもしれません。
そのためには多くの疑似体験や実体験で失敗することで、進化が早くなることになります。
失敗データは宝の山
- 失敗をすべて経験するには人生は短すぎる。だから先人や書籍での疑似体験をしよう
- 失敗を高速で繰り返すことで、多くの進化ができるデータを集めよう
失敗データは改善の宝の山になります。
しかし、それを活かすためには、”仕組みの改善”が必要になります。
なぜ、仕組みを改善するのかを次に解説します。
ヒューマンエラーの多くは不十分なシステムによって引き起こされる
失敗を責める人は、人を責めていることになります。
しかし、プロマネの場合は、失敗を部下に責める前にシステムを疑うような訓練が必要であると考えています。
本書では、”ヒューマンエラーの多くは不十分なシステムによって引き起こされる”と記載されています。
これは、多くの失敗は同じパターンに当てはめることが出来ると提唱されています。
例えば、航空機での事故を防ぐために、レバーの形を見直している事例が挙げられます。
失敗をするときは人は焦ります。しかし、焦った場合でも適切なシステムがあれば、多くの失敗が防げるのです。
そのためには、“失敗データの「宝の山」”を分析をして、システムを改善することが重要であると書かれています。
ヒューマンエラーを防ぐためにできること
- 失敗の多くは同じパターンで起きることを理解する
- パターンを宝の山(失敗データ)から分析し、システムを改善すること
そうは言っても、それぐらいやっているよ!という人がいるかもしれません。
それは、マインドセットが違うのかもしれません。次にマインドセットについて解説をします。
適切なシステムと、適切なシステムを使うマインドセット
適切なシステムとは、選択と淘汰の繰り返しにあり、最高の品ができるようなシステムである。
要するに失敗をしないシステム、失敗を隠せるシステムでは、進化をせずに最高の品ができない。
本書では、質を重視するグループと、量を重視するグループに分けて造形をしてもらった例がある。
質を重視するグループは実施する前に、念入りに検討を実施してから取り組んだ。量を重視するグループはとにかく作って、作って、作って…と繰り返した。
どちらのグループの品が質が良かったのかというと量を重視したグループだった。
それは、とにかくやってみて、改善をするを繰り返した結果である。もちろん量を重視したので、失敗も多く経験するが、そのたびに改善を繰り返し、更に良いモノを経験で学ぶことが出来たからだった。
失敗しないシステムを作るのではなく、失敗を改善するシステムを作ることが重要である。
更に改善することをマインドセットとして意識する必要がある。
適切なシステムとは?
- 失敗を糧に、選択と淘汰を繰り返しができるシステムが良いシステムである。
- 失敗を分析して次の選択と淘汰を繰り返すマインドセットが必要。
では、どのように改善していくのかのコツを本書で説いているので、解説を続けます。
仕組みを改善するコツは?
失敗を糧に仕組みを改善する。
簡単に聞こえますが、失敗を簡単に改善までつなげることは難しいです。
ただ、改善のやり方にもパターンがありますので、パターンを覚えてしまうと改善ができるようになります。
改善のやり方について、解説をしていきます。
失敗から学ぶのは簡単ではない
本書では、”失敗から学ぶのは簡単ではない”と提唱されています。
私自身も失敗したから次からこういうところに気をつけようと意識はしますが、小さな失敗であればあるほど、翌週も同じような失敗を繰り返してしまっています。
本書で述べている”失敗から学ぶ”とは、適切な分析を実施して、仕事の仕組みに落としこみ、同じような失敗を繰り返さないことが目的となっています。失敗をしていたら進化がないのです。
では、どうするか?
徹底的な分析となります。徹底的な分析に必要なのは、なぜ起こったのか、どうして防げなかったのかを繰り返し実施することで、失敗の真の原因である真因に辿りつくこと、そして真因を防ぐために、仕組みにどのように反映するのかを、決めていく必要を述べています。
要するに、以下のポイントが重要となります。
失敗から学ぶポイント
- 注意深く考える力
- 物事の奥底にある真実を見抜く力
あなたも、常に真因を見つける訓練をしてみてください。
例えば、あなたは携帯電話を家に忘れたとします。
・次から忘れないようにしよう ⇒ これでは次に発生してしまいます。
・携帯電話をなぜ忘れるのか? ⇒ 充電機に指している状態の時に多く忘れていることがわかる ⇒ 充電機の位置が普段見えないところにある ⇒ 出かける時に見える場所に充電機を置こう。
これが仕組みの改善になります。
進化は選択の繰り返し
単純に失敗を分析して、真因を突き止めたら必ず1つの答えに辿りつくとは限りません。かならず仕組み化をするときには選択することが求められます。
また、改善したという自負から、自分の選択が正しいと思い込みも発生します。
必ず正解に辿りつくとは限りません。選択した判断が失敗に導かれる時があります。
経験を積むことで、失敗する可能性は減りますが、ゼロになることはありません。
例えば、改善したら10人中8人が良いと思ったという結果が出たために80%支持率として良い結果が出たと判断することが正しいとは限りません。実は改善しなければ10人中9人が良いと思ったとしたら、実は改善ではなく、改悪だったとなります。
対策すれば必ず良い結果が生まれるとは限りません。前後で比較する等で常に選択⇒改善を繰り返すことで良い仕組みが産まれます。
選択のポイント
- 選択をしたものが必ず正しいとは限らないので、改善したから良い結果が産まれるはずだという先入観は捨てる。
- 選択⇒改善を繰り返しには、前後で比較することをおススメする。
フィードバックは時期が大切である
失敗した時にフィードバックをしたら良いと思いますが、失敗した時は忙しくなって、それどころではなくなってしまうから、後でやろうと思って半年後や1年後にフィードバックしたりしていませんか?
本書では、フィードバックの時期が大切であると謡っています。
当たり前のことだとわかっていますが、できないのが実情だとは思います。
しかし、フィードバックの時期を外してしまうと進化が止まっているのと同じになってしまいます。
時期を逃してはいけない理由
- 時期を逃したフィードバックは、直観的な判断を向上させる効果が乏しい。
- 間違いを教えてくれるフィードバックがなければ、訓練や経験を何年積んでも何も向上しない
と本書では解説されています。
できれば失敗した時に対処をするとともに、しっかりとフィードバックを実施していきましょう。
まとめ
今回のまとめ
- 失敗から学ぶ組織とは、失敗をしっかり分析をして失敗の原因を明らかにして、同じ失敗をしない仕組みを作り、改善を続けることができるオープンループな組織です。
- 失敗から学ばない組織とは、失敗を認めない・認められない組織です。失敗を責めることで失敗が隠されるために学習機会を損失することで進化ができないクローズドループな組織です。
- あなたはオープンループに向けて、人を責めることではなく、仕組みを疑うことで進化を続けていきましょう。
ここで触れているのは、あくまで一部分になります。
本書では多く事例を掲載して、わかりやすく読み進めることができます。
このページは、あくまで私個人の大事だと思った点をピックアップしたものです。
このページで本書に興味を持たれた方は、ぜひ本書を読んでみてください。
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他の書籍も気になったという方は、以下の記事も参考にしてください。
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