技術者が翻訳会社に翻訳を依頼する時の注意事項!世界のお客様がガッカリしないために

製品をグローバル化する時に、一番必要なことは何でしょうか?

相談者
相談者

現地のニーズに合わせた製品を提供することでしょうか?

Todd
Todd

もちろんニーズに合わせることは必要ですが、
現地でわかる言葉でないと意味がありません。

製品をグローバル化する時に一番大事なものは、現地でわかる言葉で提供することです。

私は、どちらかというと製品の設計を担当していたので、翻訳担当となりました。
当初は、本当に何も知らず、何もプロセスが無い状態でこの仕事を受けました。
翻訳を軽く見ていて、翻訳会社に丸投げした結果、多くの誤訳が発生して、お客様に多大なご迷惑をお掛けした苦い思い出があります。

この迷惑をかけたことを、しっかりと反省しました。
その結果を踏まえて、皆様には世界中の人がガッカリするような翻訳を提供しないように
アドバイスを提供をいたします。

こんな人におススメ
  • グローバルに製品を提供したい人
  • 新たに翻訳会社に翻訳を依頼する人
  • 誤訳が多くて、困っている人
目次

翻訳品質はコーディネータの対応に尽きる

翻訳品質は、担当となる翻訳コーディネータの力量に左右されることが多いです。
私が感じた翻訳コーディネータが重要な理由を説明いたします。

コーディネータとは何か?

翻訳者やチェッカー、翻訳技術者を取りまとめる人です。多くはクライアントの窓口になる人が多いです。

要するに私たちクライアントはコーディネータと直接会話することが多くなりますので、人柄や誠実さが重要になります。

作業内容や日程調整をする人になりますので、コーディネータが誠実ではない場合は、プロジェクトは失敗する可能性が高いです。

コーディネータが製品の知識を持っていることが重要

専門性を持っていない翻訳者だと翻訳ができません。

どうしても翻訳者は言語ごとに異なるため、翻訳者が持っている製品知識に差があります。
コーディネータが製品知識を正しく翻訳者に伝えることが重要となりますので、コーディネータが関連製品の業務経験があることが望ましいです。

コーディネータが正しく翻訳者とコミュニケーションを取り、製品知識をもとに翻訳者に正しく指示ができているかは確認必須です。

この確認結果が、製品全体の翻訳品質に直結します。

翻訳会社の関連製品の翻訳経験は意味がない

営業は会社全体での関連製品の翻訳経験をアピールしてきます。

でも、コーディネータが製品の知識がないと意味がないです。
大手が安心感はありますが、万全というわけではないです。私の感覚的には大手はサポート対象範囲が広く、その時の空いているコーディネータを充てられることが多いと感じます。

そのため、コーディネータ自体には関連製品に携わっていないことが多いです。
私は個別にしっかりとサポートをして頂ける会社を選んだ方が結果的に良いと思います。

コーディネータには何を伝えるのか?

私たちの目指すゴールです。

  • 曖昧なゴールでは、相手の都合の良いことばかりになります。
  • 数値的な目標を明確にしてください。

例えば、〇%以上の人が翻訳結果に対して、理解ができること
特に翻訳は答えがあるようで、答えがありません。これを数値化して、コーディネータに伝えることが重要です。

ただ注意点としては、プロセスを書いて渡すことはNGです。

翻訳工程は確実に翻訳会社の方が知識が上です。これを私たちがやってはいけません。
ゴールのみを伝えることが必要です。

翻訳工程が確立されているか、疑問点はないかを確認するべき

翻訳工程は必ず確認しましょう。
これは私の経験で、任せきりになると過去の翻訳会社の一番利益が出る方法でプロセスが組まれます。相手もボランティアではないので、少ない労力で最大の成果を出そうと頑張る傾向があります。

なぜ翻訳工程が大事になるか?

工程が翻訳品質を作るからです。

工程が曖昧だったりすると、必ず品質にブレが生じます。
この小さなブレが最終的な大きなブレにつながります。

また技術者である私たちが常識だと思っていることも、翻訳会社は常識ではありません。
チェックすることが目的になっていて、チェックしたことをドヤ顔で説明してくることもありますが、何をどうやってチェックしたのかが重要です。プロセスで何をチェックするのかを明確にしてもらいましょう。

翻訳工程を見る最重要ポイント

特に人と人が情報を受け渡しするところが重要です。

  • 何をインプットされたら、その業務が実施することができるのか?
  • 何をアウトプットすることがゴールなのか?
  • アウトプットの品質の基準は何か?(どうなったら次の工程の人に情報を渡せるか?)

それぞれの担当者が、上記の基準を明確にしていくことが重要です。
また、各工程のゴール設定があって、それが私たちの求めたゴールに向かっているかどうかがわかれば、まず問題がなくなると考えられます。

更に見るとしたら?

更に見るとしたら、どの部分をポイントにするかを説明します。

  1. 情報共有の仕組み
    翻訳者同志がどのように情報共有をしているか?
    情報共有のタイミングはどのプロセスにあるか?
    他のコーディネータと情報共有して、コーディネータが1人で悩むことがないか
  2. データの最終チェックをどこまで重視しているか
    スペルチェックは全言語に適用されているか?
    表記ゆれがどのようにチェックされているか?

上記を見ておけば、安心感がアップします。

英語や日本語を渡せば、何でも完璧に翻訳できるわけではない

コーディネータも安心、プロセスも問題ないとなったら、後は丸投げで良いでしょうか?
答えはNoです。

単純に英語や日本語を渡すだけでは、まだ誤訳が残ります
追加となる情報が必要ですが、必要となる理由を説明します。

翻訳だから、単純に英語や日本語を出せば良いのでは?

英語や日本語が完全形だったら、そのまま渡しても問題ないかもしれません。
しかし、英語や日本語は曖昧な表現や、省略されていることが前提となる言語になります。
曖昧な状態や省略が残っているまま翻訳してしまうと、正しく意味が伝わらない可能性が高いです。

これから、英語・日本語以外に追加するべき情報を説明します。

翻訳する製品について詳細を説明する

製品がどのような目的で開発されているのかを説明することが重要です。

製品の目的をコーディネータ・翻訳者が正しく理解するだけで、翻訳品質は劇的に上がります。
製品の目的を理解できていないと、コーディネータや翻訳者の常識で翻訳されてしまう傾向があり、私たちの意図にあった翻訳がされない可能性があります。

翻訳する文言に注目している人が多く、製品目的の説明を省略する人が多いらしいです。
そのため、製品目的はしっかりと調査・検討を実施して、なるべく詳細にわかりやすく伝えることが翻訳品質向上に大きく寄与します。

翻訳を依頼する際に追加情報を提供する

翻訳をする際には、追加情報は必須です。

  1. 翻訳の元となる英語や日本語の完全形を提供すること
  2. 商品名等の固有名詞は確定させておくこと
  3. 曖昧な表現があるものは、説明文を付与する (例えば、IlluminationとLight)

追加情報を提供することが、理解が深まるので翻訳品質は向上します。

直訳にならないために、ワードの意味から現地に適した翻訳を実施してもらう

英語をそのまま単語ごとに翻訳することを直訳
ワードの意味全体を理解して、現地で使われる用語に翻訳することを意訳
と言います。

直訳することで、現地で正しく伝わらない、違和感があることが多々あります
現地で機能を知っている人が見たら変だなと思います。

安価な製品を買ったときに、あなたは説明書の日本語に違和感や意味がわからないものはありませんでしたか?

これはほぼ直訳していることが原因です。
この直訳を修正する方法をご説明します。

直訳をしてしまうと、なぜ問題なのか?

例えば、道路標識を翻訳する際に、英語では”STOP”ですが、日本語は”とまれ”ですよね
でも、単純にSTOPだけを見て翻訳すると、”止まる”となってしまうことがあります。

でも、道路標識だと”止まる”ってなっていると違和感がありますよね。

この違和感が問題です。
ユーザには正しく伝わっていないことになります。

これは道路標識だよと説明文を伝えるだけで、直訳は防げます

直訳を防ぐために、どのようにすれば良いか?

まず、翻訳会社の基本は直訳です。意訳してくれる翻訳会社は、ほぼ無いと考えても良いです。

余計な情報を足したり、情報を削除するのは、かなりの労力がかかります。
また、翻訳会社目線では勝手に足したり、情報を削除するのはリスクがあります。
クライアントの意図を理解しないまま、追加・削除はあとで修正を求められることを恐れています。

要するに、私たちは意訳することを依頼して、追加・削除に対して目くじらを立てないことです。

削減できない用語は事前連絡しておく、情報追加・削除を予め許容する。
直訳しない箇所は、なぜ直訳しなかった理由を明確にしてもらっておく。
追加・削除をしたことを怒らない。もし怒ったら確実に次回から直訳します。

そして、直訳には英語と日本語を両方とも提供すると効果が高いです。

英語は表音文字と呼ばれていて、音をアルファベットで表現する言語です。
日本語は表意文字と呼ばれていて、意味を漢字で表現する言語です。

両方を提供することで、意味も理解できますし、また表音文字で表現される言語にも翻訳がしやすいです。これでかなりの直訳が減りました。

まとめ

  • 翻訳会社の規模ではなく、翻訳コーディネータの経験や力量から翻訳会社を選ぶ
  • 翻訳工程が自分たちが求めるゴールに適しているかを確認する
  • 単純に英語・日本語を提供するのではなく、追加情報として製品説明・文言の説明を付ける
  • 翻訳会社は直訳を好むが、意訳することを依頼する
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