“現場を見てこい”と言われたことありませんか?
本当に見てきただけなので、”見てきましたよ”と報告をしてませんか?
以前の私は現場に行っても、何をして良いか本当にわからず、ただ現地見物になっていました。
現場を見てこいと言われた時に、私は昔のドラマのセリフを思い出します。
“事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!”
本当にその通りだと思います。
求められる立場が上位になればなるほど、現場に行かないで報告を聞くのみになるという人が多いです。
しかし、それでは物事の本質がわからないです。報告者は報告相手に対して意図的ではないにしても、自分の物差しで都合の良い報告をします。
そのため、私は関係先には率先して訪問して、現地で現物と現実を見ることに決めています。
わかること
- 現地現物の具体的なやり方 手順3選
- 現地現物を実施する理由 2選
- 現地現物の注意事項 3選
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今回の現地現物の記事の参考文献に利用した本です。40年以上前の本ですが、今でも十分に通用する内容となっています。もっと詳しく知りたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
現地現物の具体的なやり方 3選
現地見学になってしまうのは、何を確認したら良いかわからないためです。
現地現物に初めて行った時は、相手側には歓迎されないことが前提となります。
なぜならば、あなたに対応するために無駄な時間を費やすことになると感じているためです。
そのため、あなたが現場の人達に価値のある人にならなければ、現地現物は成功したとは言えません。
まず、現地現物をするときは、以下の3つの方法が基本となります。
現地現物の3つの手順
- 現場の人を観察すること
- 人と人の引き渡し箇所を見ること
- 進捗を管理する方法を見ること
現場の人を観察すること
現場の人が現地現物の準備をして頂けることもありますが、できれば自分の目で現場の動きを確認しましょう。
現場の動きをなるべく時間をかけて見ることがおススメです。
ただ見るだけだと、現地見学になってしますので、観察するポイントを以下に示します。
現場の人を観察するポイント
- 無駄な動作をしていることがないか
- 待ち状態になっている時間が長い人がいないか
- 問題が発生した時に、きちんと対応ができているか
無駄な動作とは?
無駄な動作の例:
このデータを処理するのに、一旦このフォーマットに手作業でコピペしてから次の工程に回しています。
(単純作業の繰り返しを実施している)
このデータを承認するために、A部署とB部署の部長の承認を取る必要があります。
(承認作業の煩雑さ)
進捗状況は、AシステムとBシステムの両方に登録することで、マネジメントに見えるようにしています。
(情報の複数登録)
この工程のインプット情報を入手するために、相手先に訪問してデータをUSBにコピーする必要があります。
(移動の無駄)
無駄な作業の多くは現場では常識であり、今までも同じように仕事をしていたので今更変更することが難しい等の理由があると思います。
しかし、無駄な作業を削減することで効率的に仕事が回るので、相手の常識的になっていることも、あなたが無駄と思ったことは相手と会話をして改善につなげられたら成功です。
待ち状態とは?
待ち状態の例:
データをアップデートするのに時間がかかって、待っている時間が長いんです。
(自業務での待ち時間が長い)
前の工程からのモノが届かないので、待っている時間が長いです。
(工程間の待ちが発生)
上司が承認するまで、この工程を動かすことができません。
(作業開始の承認作業の計画)
待ち状態が発生する原因の多くは以下の3つの要因があります。
- 自工程での待ち
- 工程間の待ち
- 作業開始の承認作業
待ち状態を確認する場合は、これら3つの観点で現地現物をすることで多くの発見があるでしょう。
問題発生時の対応とは?
問題発生時の対応の例:
問題が発生しているか、正常なのかわからないです。
(基準が不明確)
問題を発見しても、周りに迷惑をかけずに自分だけで解決しないといけません。
(問題発生時のサポート体制がない)
とりあえず問題があっても、何もなかったように次の工程に流しています。
(問題隠しの疑い)
現地現物の際に問題が発生する可能性は低いですが、現場で問題が発生した時の動作が規定されているかは確認しましょう。
工場では”あんどんを引く”ことでラインを止める等があります。設計やソフトウェア開発等でも同じように問題が発生した時に原因解明をする仕組みがあるか確認をしましょう。
問題発生時の仕組みは大事なので、仕組みが無い場合は必ず仕組み導入をするようにお願いしましょう。
人と人との引き渡しする箇所を見ること
人と人が関わると誤解を招いていることが多いです。特に責任範囲等が曖昧な時には問題が発生しやすい箇所となります。重点的に現地現物を行い、問題を解決していきましょう。
人と人との引き渡しする箇所を確認するポイント
- コミュニケーションが円滑かどうか
- 責任分担が明確になっているかどうか
コミュニケーションが円滑かどうか
コミュニケーションが円滑ではない例:
後の工程の人が何を求めているか理解していないですね。
(後工程の業務や目的の理解不足)
前の工程の人がちゃんと仕事してくれていないので困っています。
(前工程が見えていない)
コミュニケーションは誤解を招くことが多いです。工程間の問題を確認して、更に深堀をしていく必要があります。そのためには、次の責任分担の調査が重要です。
責任範囲が明確化どうか
責任範囲が明確ではない例:
この仕事は後の工程の人が実施するはずです。
(責任範囲の不明確)
私は作業をするだけなので、問題があれば誰かが対応してくれます。
(自己責任の放棄)
走りながら実施内容を決めている場合等に多いのは、責任範囲が不明確になっていることです。
しっかり誰が何をするのかを計画することが必要です。責任範囲を明確にする方法は以下の記事をご参照ください。
進捗管理方法を確認する
なぜ進捗管理方法を見るのでしょうか?
進捗管理はプロジェクトの品質に直結するからです。
プロジェクトの進捗管理を見ることは品質を見ることになります。
そのため、現地現物では進捗管理を見ることをおススメします。
しかし、進捗管理は何を見れば良いのかがわかりません。
進捗管理を見るポイントは以下の5つになります。
1. 着手をする日が明確かどうか?
2. それぞれのタスクの時間が明確になっているか?
3. 週単位、日単位で何を実施するのかが明確になっているか?
4. 遅れが発生したことが、数値的にわかるようになっているか?
5. 終わったことを、次の工程の人がわかるようになっているか?
進捗管理で見つけるべき問題点:
- 期限の管理のみで、途中段階で遅れが見つけることができない
- 進捗状況がパーセント表示であるが、数値ではなく感性で数字を決めている
- 担当者が日々何を実施すれば良いのかが個人に委ねられている
- 終了したことを、次の工程の人がわからない
このような状態になっている場合、進捗管理ができていないと言えるでしょう。
あなたが現地現物で見つけた問題は、しっかり解決できるように寄り添って行きましょう。
なぜ現地現物が必要なのか?
現地現物しなくても、担当者の報告を聞くだけで十分ではないか?
どのような立場になっても、現場に行く必要があります。ポイントは以下の2点になります。
現地現物を実施する理由:
- 担当者の報告のみでは、本当に現場で起こっている問題は把握できない。
- 現場との信頼関係を構築することで、今後のコミュニケーションがスムーズになる。
報告のみでは、本当の現場での問題はわからない
現場に行く時間があるのであれば、もっとやるべきことがあるのではないか?
誰かに行ってもらって、報告聞くだけでも良いと思う。
現場に行かなければわからない課題はあります。報告のみでは現場と同じ感覚で現状を把握することはできません。
報告のみで済ませてしまうと…
- 本当の課題がわからず、上辺だけの解決方法を提案してしまう。
原因の根本的な解決にならず、問題が再発してしまう。 - トラブルが発生した時に、現場の動きがわからずに正しい指示ができない。
部下には部下の目線があり、上司には上司の目線があります。
そのため、見えている問題点も違います。全体の問題点を把握するためにはあなたも現地現物に積極的に行きましょう。
現場との信頼関係を構築すること
現場の責任者は知っているけど、現場の担当者までは把握していないです。
現場の人と一緒に汗を流すことは、信頼関係の構築につながります。
現場の人との信頼関係ができていないと…
- 問題発生時の報告が遅れてしまう。
- 現場での課題の理解が難しい。
- 取り決めたプロセス・仕組みが正しく回らない。
関係者と信頼関係が構築できていないプロジェクトは失敗する可能性が高いです。
現地現物では、責任者のみではなく、担当者や作業者とも積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。
現地現物する時の注意事項
私は多くの現地現物を経験しています。
工場でモノを作っている現場や、設計図面を書いている現場、お客様に接している現場等、上流工程から下流工程まで幅広く活動しています。
多くの現地現物経験を実施する中で、自分で失敗したなと思うことも多いです。その都度反省しており、私が気を付けているポイントが3つあります。現地現物を行う時に注意すべき3つのポイントを解説いたします。
現地現物で注意するべきポイント3選
- 待ちの姿勢にならないこと
- 現場の人を下に見ないこと
- 問題解決を現場の人に任せきりにしないこと
待ちの姿勢はダメ
相手が話しかけてくるまで、何もコミュニケーションを取っていないです。
待ちの姿勢では、あなたが本当に欲しい情報は手に入りません。
待ちの姿勢で現地現物すると…
- 相手が都合の良い情報を提供するのみで、あなたが本当に欲しい情報が手に入らない
- 責任者ばかりと話をして、担当者が何をしているのかがわからない。
現場の責任者や担当者は、あなたを歓迎してくれているとは限りません。
特に初回から歓迎されることはありません。相手も面倒に思っていて、穏便に終わらせたいと思っています。
積極的に現場を見て、現場の担当者に質問やコミュニケーションを取ることが重要です。
現場の人を下に見てはダメ
こちらが発注しているから、しっかり指摘してくるぞ!
発注元、発注先の立場は関係なく、相手の仕事場に伺うという謙虚な気持ちで行きましょう。
現場の人を下に見ていると…
- 信頼関係が築けずに、当たり障りのない情報しか出てこない
- 次回以降は担当者は出てこなくなり、上位層が会議室で対応してくれるのみになる。
あなたが受注側だったとして、このような現地現物をされたらどう思いますか?
相手が受注側だからという理由で人を見下すことが許されることはありません。
相手をリスペクトした上で、問題点の指摘をすることは大事ですが、決して見下すような態度を取ってはいけません。
現場の人には感謝・リスペクトを忘れないようにしましょう。
問題解決を現場の人に任せるのはダメ
問題を発見して、現場に問題解決をお願いしてきました。
解決をするところまでが現地現物です。現場の人と一緒に完結案を考えましょう。
問題解決を現場に任せてしまうと…
- こちらで解決しなければならない問題を見過ごしてしまう。
- 評論家になってしまって、相手先から信頼がなくなってしまう。
現場の人に寄り添い、もっと大きな視点で解決方法を考えましょう。
同じ釜の飯を食った仲間と言いますが、現場とは強固な信頼関係を築きたいですね。
まとめ
現地現物の目的
- 報告のみでは、本当に現場で起こっている問題は把握できない。
- 現場との信頼関係を構築することで、今後のコミュニケーションがスムーズになる
現地現物の手順
現場の人をじっくりと観察していると、無駄な動作や待ち状態になっていることが見えてきます。素通りで一通り見たではなく、時間をかけて観察していきましょう。
人と人が関わる箇所は、ミスコミュニケーションや動作の重複、無駄な待ちが発生します。モノや情報の引き渡しが発生する箇所は徹底的に見ましょう。
進捗管理はプロジェクトの成否に直結します。どのように管理しているかをしっかり確認しましょう。
現地現物の注意事項
- 待ちの姿勢にならないこと
- 現場の人を下に見ないこと
- 問題解決を現場の人に任せきりにしないこと
現地現物はプロジェクトを成功に導くための重要な要素です。皆さん積極的に現地現物に行きましょう!
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