ステークホルダーがわからない人は、以下の記事を参照してください。
そもそもステークホルダーに情報共有するのは時間の無駄だと考えています。
ステークホルダーに情報共有するよりも、業務を進めることを優先したい気持ちもわかります。
ステークホルダーと情報共有をしたくない人の考え方
- プロジェクトの情報を出さないことが成功の秘訣と考える
情報の流出がリスクがあると思っているので、過度に隠匿してしまっている - 時間の無駄と考える
報告自体ではプロジェクトは進まないと勘違いをしている - 些細な情報は共有する価値がないと考える
報告内容が細かすぎて、ステークホルダーにとって必要ない情報であると決めつける - 情報共有をコントロールして自分の価値を高めると考える
自分に不利な情報なので、出さずに隠しておきたいという心理になる - リスクを増やすと考える
情報を共有することで余計なリスクが増えて、結果的に仕事が増えると考える
これらはすべて誤解です。
プロジェクトの成功には、ステークホルダーへの情報共有は必要です。
この記事を読んだ後のあなた
ステークホルダーと一緒にプロジェクトを成功することができる。
また、ステークホルダーと効率的な情報共有のやり方がわかる。
ステークホルダーと情報共有する理由
ステークホルダーはプロジェクトマネージャーとは異なる視点・立場でプロジェクトを支える方々です。ステークホルダーは異なる視点・立場を持つからこそ、プロジェクトを客観的に見れる立場です。
そのため、プロジェクトの道標の位置づけで、情報共有が必要となります。
しかし、ステークホルダーに情報共有することで得られるメリットが見えません。
ステークホルダーに情報共有するのは、もちろんプロジェクトを成功に導くためです。
具体的には以下の5つに集約されます。
ステークホルダーに情報共有を実施する理由
- 信頼の確立
- 意思決定
- 期待値の把握
- フィードバックの収集
- リスクの事前回避
次の章から、具体的に説明をしていきます。
信頼の確立
あなたは誠実にステークホルダーに向き合っていますか?
プロジェクトの成功に不可欠な要素である信頼関係の築き方について解説をします。
信頼関係を築くことの重要性を中心に、具体的な事例を通じてその重要性を掘り下げていきます。
信頼関係を築くことの重要性がわからないのですが。。。
信頼関係があれば、プロジェクトチームとステークホルダーの間で円滑なコミュニケーションができます。
ステークホルダーと円滑なコミュニケーションを取ることのメリットは以下の3つになります。
ステークホルダーと円滑なコミュニケーションを取ることのメリット
- 問題が早期に発見されて解決される可能性が高くなる
異なる視点を持つステークホルダーは、プロジェクトマネージャーが気付かない問題に気付く可能性が高いです。 - プロジェクトに対する支援や協力を得られやすくなる
ステークホルダーとの関係を構築することで、プロジェクトマネージャーのみで解決できない費用や人員追加等の支援・協力が得られやすくなります。
なるほど、信頼関係があればプロジェクトの進行がスムーズになるんですね。具体的な事例を挙げていただけますか?
以前、私のプロジェクトは当初計画と比較して、スケジュールの遅れが発生していました。
素早くステークホルダーに報告し、ステークホルダーと共に対策を考えた結果、人員の一時的な増加、経験者の確保という解決案を実施しました。
この事例をキッカケに、オンスケジュールでプロジェクトは進行し、当初遅れていたにも関わらず、最終的にはステークホルダーから評価とプロジェクト自体への信頼、メンバーへの信頼を得られました。
信頼関係は続き、ステークホルダーと共に問題解決を続けたことで、最終的にプロジェクトを成功に導くことができました。
私がプロジェクトマネージャーになった頃の話ですが、当初計画からスケジュールの遅れが発生していました。
しかし、私は自分自身で解決することを選択し、メンバーの負荷も上がっているにも関わらず、スケジュールの遅延は解決できず、メンバーからも信頼を失っていました。
更に、ステークホルダーは不信感を抱き、プロジェクト自体への信頼もないため、ステークホルダーに人員の増加、経験者の確保の解決案の提案はしましたが受け入れてもらえませんでした。
結果的にプロジェクト自体は失敗。当初のプロジェクトの期限を守れず、延長を繰り返し、費用もどんどんつぎ込み、プロジェクト自体は終了したが、赤字のプロジェクトになってしまいました。
ステークホルダーも人である。人は信頼できる人には支援・協力を惜しまない
意思決定
自分の感覚だけで意思決定をして、後悔することはありませんか?
ステークホルダーに意思決定のサポートをしてもらうのって、面倒ですよね。自由に発言するし・・・。
ステークホルダーはプロジェクトにとっては直接的な利害関係者となるため、ステークホルダーにも考えを持っています。それを無視して自分だけで意思決定するのは、最終的に要求を満たさないことになりかねません。
ステークホルダーに意思決定をサポートした時の循環
プロジェクトマネージャーや担当者は、今を何とかしたいという思いが強くなる傾向があります。
ただし、今を解決しても最終的にステークホルダーにメリットが無ければ意味がありません。
そのため、直接的な利害関係者であるステークホルダーに意見を聞くことで新たな視点での検討、新しいアイデアが出ることがあります。
意思決定のサポートをステークホルダーに確認することで、ステークホルダーも参加意欲や関心が高くなります。
おおむね、ステークホルダーは忙しい人が多いです。ステークホルダーの関心を引くことで、あなたのプロジェクトの状況把握や新しいアイデアをステークホルダーから提供してくれる貴重な存在となります。
また、ステークホルダーが参加することで、途中で無駄な作業の排除が出来たり、最終成果物に失敗が少なくなります。
ステークホルダーが関心があるプロジェクトは、プロジェクト自体の重要性が高まります。
結果的に、チームメンバーの承認欲求を満たすことにもつながりやすく、モチベーションが高くなる傾向があります。
常にステークホルダーに関心も持ってもらえることで、プロジェクトの小さな遅れや、方向性の違いが早期に発見できることになります。
問題発生した時に、すぐに対処することができますし、対処にもステークホルダーが関わることで、対処方法も直接効果がある手が打ちやすくなります。
結果的に、プロジェクトは成功する可能性が高くなります。
確かに、ステークホルダーとの信頼関係を築くためにも、ステークホルダーの意思決定への参加は重要ですね。
最初はステークホルダーに意思決定のサポートをもらうのは大変だが、最終的には良い結果につながります。急がば回れです!
期待値の把握
ステークホルダーの期待値は、プロジェクトの目的や目標に直結する!
ステークホルダーの期待値を把握するために、プロジェクトの情報展開をすることに意味があるのでしょうか?
プロジェクトの状態をステークホルダーが知ることによって、ステークホルダーは期待値を正確に伝えることができます。
しかし、プロジェクトへの期待値は最初に聞いているから、都度報告しなくても、大丈夫なのではないでしょうか?
プロジェクトが進行するうちに、状況や環境の変化により期待値が変わるか可能性があるためです。
ステークホルダーに期待値を再確認する理由
- 状況の変化への対応
プロジェクトが進行する中で、状況や要件が変化することがあります。ステークホルダーに都度状況を報告することで、新たなニーズや要求にすぐに対応ができるようになります。 - 目標の再確認と調整
プロジェクトの目標や方向性を再確認し、必要に応じて調整することができます。これにより、プロジェクトは目標に向かって効果的に取り組むことができます。
ビジネスの状況や環境が変わることは多いので、当然ステークホルダーの期待値も変わります。
フィードバックの収集
フィードバックを受けると「あぁ面倒だな」だと思っていませんか?
ステークホルダーからフィードバックを収集し続けると、プロジェクトの遅延や混乱を招きませんか?
もちろん、全部を鵜呑みにして聞く必要はありません。しかし、フィードバックの収集はプロジェクトの成功に欠かせません。
結局、プロジェクトはステークホルダーのために実施すると言っても過言ではありません。そのステークホルダーの満足度を上げることは重要です。
フィードバックの収集で得られるメリット
フィードバックを収集することで、ステークホルダー(特にお客様)のニーズに迅速に対応できる。そのため、製品・サービスの品質向上につながる
高い満足度がある製品やサービスは、お客様の購買意欲を高めることが出来て、売り上げが向上する。
ステークホルダーやお客様との信頼関係ができることで、プロジェクトの支援(コストや人員)が増加する。
支援が得られると、メンバーは更にやりたいことができるようになるため、モチベーションの向上につながる。
メンバーやステークホルダーから新しいアイデアが創出されて、新たな製品・サービスが産まれる。結果的に付加価値の高いプロジェクトができる。
ステークホルダーからのフィードバックは宝の山である!
リスクの事前回避
リスクを早く回避できるプロジェクトほどうまく行く
なぜステークホルダーに情報展開をすることがリスクの事前回避につながるのでしょうか?
それは、いくつかありますが、本質的にステークホルダーの意向がプロジェクトの成否に重大な役割を担っているためです。
ステークホルダーへの情報展開がリスクの事前回避につながる理由
- リスクの早期発見
ステークホルダーがプロジェクトの状況を理解することで、プロジェクトの問題点をステークホルダーの立場で発見することができます。 - 迅速な対応策の立案
ステークホルダーが問題を把握することで、ステークホルダーの立場でも対応策の立案ができます。コスト面や人材面に問題がある場合も迅速に対応できるようになります。自分だけが頑張っても限界があります。 - リスクの最小化
ステークホルダーとの協力関係を強化することで、リスクが発生した際には効果的な対策をステークホルダーと共同で検討することで、最適な解決策を出すことができます
ステークホルダーも巻き込んでリスクの解決策を考えましょう!
ステークホルダーと情報共有するテクニック
何をステークホルダーに伝えるのかわかりません。結果的に、ステークホルダーに何度も情報を伝えることになっています。
ステークホルダーは立場によって知りたい情報は異なりますが、いくつか抑えるべきテクニックがあります。
ここでは、抑えるべきテクニックを説明します。
悪い情報も伝える
正しい情報を伝えることは、プロジェクトマネージャーとしての責任です
ステークホルダーには売り込みをするために、良い情報ばかりを渡して円滑に進めています。
スケジュールの遅延や予算の超過などの問題が発生した場合、悪い情報を隠してしまうことは信頼関係を損なう可能性があります。
悪い情報をステークホルダーに伝えないと起こること
- 問題解決の遅れ
問題解決にはプロジェクトマネージャーのみで解決できないことも多いです。例えば、コスト不足や人員の不足等はステークホルダーの協力が必要です。しかし、ステークホルダーが悪い情報を知らないことで支援が出来なくなります。 - リスクの発生確率上昇
ステークホルダーと共にリスク回避に向けて検討することは重要です。しかし、ステークホルダーが悪い情報を知らないと、問題が発生がしてから対処することになります。事前に対応できたリスクが問題として顕在化してからだと遅いです。 - 信頼の低下
悪い情報を隠したとしても、後々悪い情報はステークホルダーに伝わります。その時、ステークホルダーからの信頼は低下してしまい、プロジェクト全体の存続まで危ぶまれる可能性があります。
悪い情報は隠したくなるものですが、ステークホルダーは時には助けてくれるものです。持ちつ持たれつ。
情報の分析をして伝える
分析せずに報告する部下をどう思いますか?
ステークホルダーには正確な情報を伝えるため、ありのままを伝えています。
ありのままとは、現状の状態のみを伝えているということでしょうか?
例えば、進捗の状態としては、現状 タスク数 45/74件進んでいますと伝えています。
結局、それはタスクとしては期限内に完了するのでしょうか?
完了しないから、ステークホルダーに情報展開をしようと思っています。
いや、結局のところタスク数 45/74は進んでいるのか、遅れているのかを報告するとともに、なぜ遅れているのかを分析する必要があります。
例としては、これは極端かもしれませんが、同じようなことをあなたはやっていませんか?
ステークホルダーに情報共有すべき分析事項
- 進捗状況
- 完了したタスクの割合と進行状況
- 予定より遅れているタスクやマイルストーン
- 遅れの原因
- リスク
- 特定したリスクと発生確率や影響度
- 現在の対策や予防策の有効性
- 新たに発生したリスクや潜在的なリスク
- 予算
- 実績と予算の比較
- 予算超過や費用節減の要因
- 追加費用の見込みと原因
- スケジュール
- 進行中の作業の遅延の要因や影響
- クリティカルパスの変更やリソースの不足
- スケジュールの再調整の必要性や予想される影響
- 品質
- 完了した作業の品質状態
- 品質管理プロセスの効果と改善検討結果
- 品質に関連する問題や顧客のフィードバック
- 顧客満足度
- 顧客からのフィードバックや要望の分析
- 顧客満足度調査結果の検討と対応策
- 顧客とのコミュニケーションや関係の健全性
- チームのパフォーマンス
- チームの生産性と効率性の分析
- リーダーシップの評価
- チームメンバーのスキルやモチベーションの状況
事実を伝えるのみではなく、発生したことの問題点、理由や対策案も報告しましょう!
適切なタイミングで伝える
同じことを言っている人が評価されるのは、なぜなんでしょうか?
結局、いつもステークホルダーに伝える時は手遅れな時が多いです。それでステークホルダーの信頼を落としているような気がします。
ステークホルダーに報告する場合、ステークホルダーが意見・支援・協力ができるタイミングで報告しないといけません。
情報展開するタイミングが遅い場合の問題点
- 機会損失
タイミングが遅れると、ステークホルダーの意見が得られないまま機会が失われることがあります。ステークホルダーが提供できる価値ある情報やアイデアを逃すことで、プロジェクトの改善や成功の機会を逃してしまう可能性があります。 - 意思決定の遅れ
適切なタイミングで情報が提供されないと、ステークホルダーは必要な意思決定を遅らせることになります。プロジェクトの進行や解決すべき課題に対する適切な対策が遅れ、プロジェクトの成果に悪影響を及ぼす可能性があります。 - 信頼関係損失
タイミングが遅れると、ステークホルダーはプロジェクトマネージャーやプロジェクトチームに対する信頼を失うかもしれません。情報の提供が遅れることで、ステークホルダーは情報を隠していると感じ、信頼関係が損なわれる可能性があります。
チャンスをつかむ人は、タイミングをつかむ人
自分の思いを伝える
あなたがプロジェクトのマネージャー!
そもそも事実と分析結果を伝えるだけでは、なぜダメなのでしょうか?
あなたがプロジェクトのマネージャーなので、一番プロジェクトのことを理解しています。あなたの考えや思いがあるだけで、ステークホルダーはあなたに共感してくれます。
ステークホルダーに自分の思いを伝えることのメリット
- 共感
感情や思考を共有することで、ステークホルダーはプロジェクトマネージャーにより親近感を持ち、情報に共感しやすくなります。 - 信頼獲得
情報提供者が情報に対する真摯な思いを伝えることで、ステークホルダーはより信頼できると感じます。 - 意思決定の円滑化
情報提供者の意図や考え方が明確になることで、ステークホルダーは適切な意思決定をより迅速に行うことができます。 - 情報の理解
情報の背景や意図がより明確になり、ステークホルダーは情報をより深く理解することができます。
最後は自分の思いを伝える情熱!
まとめ
ステークホルダーとの情報共有はプロジェクトを遂行するために絶対に必要な要素です。
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