- 「向いていないかも」と思った具体的な瞬間——何が起きて、どう感じたか
- 「向いていない」と「まだ慣れていない」の決定的な違いと見分け方
- それでも続けた理由——感情ではなく、3つの問いに答えた結果
- 転換点はどこだったか——「向いていないかも」が消えた瞬間
- 転職後に「向いていないかも」と感じている人へ——判断の基準
転職後7ヶ月頃のことだ。
「自分は企画職に向いていないのかもしれない」と、本気で思った瞬間があった。 「自信がない」「できていない」という話ではなく、もっと根本的な問いだった。 「そもそも、この仕事は自分に向いているのか。」
SCENE / 転職後7ヶ月・部門会議の帰り道
部門の企画レビュー会議が終わった。
私は企画の方向性について意見を述べた。自分では論理的に組み立てたつもりだった。
会議後、上司に呼ばれた。「さっきの意見、設計の発想で見ているんですよね。お客様の視点で考えてほしかった。」
それは3回目の同じ指摘だった。
1回目は「そうか、気をつけよう」と思った。2回目は「まだ身についていないのか」と思った。3回目は違う問いが来た。
「自分は企画職に向いていないのではないか。」
エレベーターを待ちながら、その問いを頭の中で転がしていた。
「設計の発想で見ている」という指摘は正しかった。 7ヶ月経っても、同じ指摘が来る。 「慣れればなくなる」と思っていたのに、なくなっていない。
その夜、「転職後 向いていない」というキーワードで検索した。 似た悩みを書いている人が何人もいた。 でも「向いていないかもしれない」という答えを出している人も、「向いている」と確信している人の話も、どちらも自分の状況に当てはまらなかった。
答えは自分で出すしかなかった。
マイナビ転職の調査によると、未経験職種への転職者のうち「転職後に向いていないかもしれないと思ったことがある」と回答した人は全体の約71%。その時期は「入社後3〜8ヶ月」が最も多い(48%)。
一方、「向いていないと思いながらも続けた人のうち、1年後に満足していた」人の割合は約63%。「向いていないと思ってすぐに再転職した人の1年後の満足度」(約41%)より高い傾向がある。
「向いていない」と「まだ慣れていない」の違い
「向いていないかも」という問いに向き合う前に、 まず「向いていない」と「まだ慣れていない」の違いを整理する必要があった。
この2つを混同すると、判断を間違える。
「まだ慣れていない」は、時間と経験で解決できる問題だ。スキル・知識・文化への適応——これらは学習と実践で補える。
「向いていない」は、構造的な問題だ。その職種が求めることと、自分が持っているものの間に、学習で埋まらないギャップがある状態だ。
両者を見分ける問いは一つだ。「この仕事が求めることを、自分は本質的に楽しめるか」という問いだ。
楽しめるなら「まだ慣れていない」可能性が高い。楽しめないなら「向いていない」可能性がある。「できるかどうか」ではなく「楽しめるかどうか」が判断の軸になる。
私の場合、「設計の発想で見ている」という指摘が繰り返し来ていた。 でも自問した。「お客様の視点で企画を考えることを、自分は楽しめるか?」
答えは「楽しめる」だった。 楽しめるけどできていない。それは「まだ慣れていない」の問題だ。 「楽しめないしできない」なら、「向いていない」の可能性が高い。
この問いへの答えが、続けるかどうかの判断の起点になった。
「向いていない」の判断を「できない」で下すのは早い。未経験転職後の「できない」は、多くの場合「まだ慣れていない」だ。「楽しめるか」という問いが、両者を見分ける最も正確な指標になる。
それでも続けた理由——3つの問いに答えた
「向いていないかも」という問いが来た夜、私は3つの問いを自分に立てた。 感情で判断するのではなく、問いへの答えで判断しようと思った。
「設計の発想で見ている」という指摘を繰り返し受けていた。
でも同時に、「お客様が本当に欲しいものは何か」という問いを立てることは、楽しかった。できていないが、楽しい。その感覚は確かにあった。「できていないが、本質的な面白さは感じている」という状態は、「まだ慣れていない」の範疇だと判断した。
「向いていないかも」という問いが来た夜、前職を思い出した。
月100時間の残業。面白くない仕事だけが残る構造。「このままでいいのか」という問いへの答えを出せないまま過ごす日々。「前職に戻りたいか」という問いへの答えは、明確に「ノー」だった。「向いていないかも」と思いながら今の職場にいる方が、前職に戻るより遥かにいいと感じた。
「設計の発想で見ている」という指摘が繰り返し来ていた。
でも1回目から7ヶ月目にかけて、指摘の内容は変わっていた。最初の指摘は「企画とは何かがわかっていない」レベルだった。7ヶ月後の指摘は「お客様視点への転換が不完全」というレベルだった。問題の解像度が上がっていた。「同じ指摘が来ている」ではなく「指摘の精度が上がっている」と解釈した。1年後に同じ指摘が来るとは思えなかった。
3つの問いへの答えは「続ける」を指していた。 感情は「向いていないかも」と言っていた。でも問いへの答えは「続ける」だった。 問いへの答えを信じることにした。
INNER VOICE / 3つの問いに答えた後、頭の中にあったこと
「向いていないかも」という感情は正直だ。でも感情は判断の材料にはならない。
問いへの答えは「続ける」を示している。それを信じる。
でも——いつまで続けるかは、決めておいた方がいい。
「入社1年で、一つでも自分が出した企画が通らなければ、再転職を検討する。」
そう決めた。期限と条件を決めたことで、「向いていないかも」という不安が少し軽くなった。
「期限と条件を決める」ことが、「向いていないかも」という不安への、最も現実的な対処法だった。 漠然と「向いていないかも」と思い続けるのではなく、 「この条件が満たされなければ判断を変える」という基準を持つことで、 目の前の仕事に集中できるようになった。
転換点——「向いていないかも」が消えた瞬間
3つの問いに答えて「続ける」と決めた後、「向いていないかも」という問いが来なくなった瞬間がある。 入社から約10ヶ月後のことだ。
SCENE / 入社10ヶ月・社外の展示会での出来事
競合他社の新製品展示会に参加した。展示されている製品を見ながら、私の頭は自然に動いていた。
「この機能は設計コストが高いはずだ。なぜこのタイミングで出したのか。」
「この操作フローは、お客様が本当に使いたい動線と違う。こうした方が使いやすいのでは。」
「うちの次の企画で、この視点を入れると差別化になる。」
展示を見ながら、次々とアイデアと観察が湧いてきた。
その感覚に気づいた時、「向いていないかも」という問いが、頭の中に存在しなかった。
「設計の発想で見ている」という指摘が来た時期の頭の動きと、 展示会での頭の動きは、根本的に違っていた。
以前は「企画としてどう考えるべきか」を意識的に考えなければならなかった。 展示会では、意識しなくても「企画の視点」が自然に動いていた。 「意識しないと切り替わらない」から「意識しなくても動く」への変化だった。
「向いていないかも」という問いは、「意識しないと動かない」時期に来ていた。 「意識しなくても動く」ようになった時、問いは消えていた。
「向いていないかも」は、能力の問題ではなく「まだ無意識に動かない」という状態の問題だった。無意識に動くようになった時、問いは消えた。
今「向いていないかも」と感じているあなたへ
この記事を読んでいる人の中に、今まさに「向いていないかも」という問いの中にいる人がいると思う。
その問いに対して、正直に言える。
「向いていないかも」という問いが来ることは、転職後の正常な状態だ。 未経験転職者の約71%が同じ問いを経験している。 問いが来ること自体は、異常でも失敗のサインでもない。
大切なのは、その問いへの答えを感情で出さないことだ。 私が使った3つの問いが、判断の材料になるかもしれない。
「この仕事の本質的な面白さを、自分は感じているか。」 「前職に戻りたいか。」 「一定期間後に、今の問題が残っていると思うか。」
この3つに答えた上で、「期限と条件を決める」ことをおすすめする。 「いつまでに・何が満たされなければ・次の判断をする」という基準を持つことで、 漠然とした不安が、管理できる問いに変わる。
私は「入社1年で企画が一つでも通らなければ再転職を検討する」と決めた。
結果的に入社10ヶ月頃から企画が通り始め、期限が来る前に「向いていないかも」という問いは消えた。
でも、仮に1年経っても通らなかったとしたら、再転職を検討していたと思う。「続ける」という判断は、期限を決めた上での「続ける」だ。期限のない「続ける」は、ただの先送りになる。
期限と条件を決めることは「諦め」ではない。「自分を守りながら続けること」だ。
転職後4年が経った今、「向いていないかも」という問いが来た日を振り返ると、 あの問いは必要な問いだったと思っている。
問いが来たことで、「なぜ続けるのか」を明確にできた。 明確にしたことで、続けることができた。 続けることができたから、転換点が来た。
「向いていないかも」という問いは、答えを出すべき問いであって、逃げるべき問いではない。
よくある質問(FAQ)
転職後の「向いていないかも」という感覚は、一人で抱えるより外部に話した方が客観的な判断ができる。リクルートエージェントは転職後の相談にも対応している。
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