管理職は無駄な会議ばかり|1日5本の会議で限界を感じた実録

管理職は無駄な会議ばかり|1日5本の会議で限界を感じた実録
この記事でわかること
  • 管理職の「会議漬け」が精神をどう蝕んでいくか——実録
  • 「出ないとお前が悪い」会議が生まれる組織の構造
  • 1日5本の会議で何が失われるか——時間だけではない損失
  • 若手が「正味作業」を意識しすぎた結果、管理職に起きたこと
  • 会議が転職の引き金になった理由と、転職後に変わったこと

ある月曜日のカレンダーを開くと、午前9時から夕方17時までに会議が5本入っていた。そのうち自分が主催したのは1本だけ。残りの4本は「出席者」として名前が入っていただけだった。

会議と会議の間には15分の隙間があった。その15分で、メールを確認して、部下からの質問に返信して、次の会議の資料に目を通す。本来やるべき業務には一切手をつけられない。気がつくと夕方17時になっていた。

SCENE — ある月曜日の会議室

4本目の会議が始まった。議題は「来期の開発スケジュールの調整について」。出席者は12名。ところが会議が始まって5分も経つと、最初の15分はそもそも関係のない部門の話だとわかった。

隣の席の同僚がスマートフォンでメールを確認し始めた。向かいの先輩はノートパソコンで別の資料を開いている。誰も今の議題を聞いていない。それでも会議は続いた。1時間かけて、何も決まらなかった。

これが「普通」だった。毎日ではないが、週に2〜3日はこういう日があった。月を通じて集計したことはないが、体感として自分が出席した会議の9割以上は「私がいなくても結果が変わらない会議」だった。

目次

「出ないとお前が悪い」会議の正体

なぜそんな会議に出続けたのか。答えは単純で、「出ないと後で何か言われる」という空気があったからだ。

一度、明らかに自分に関係のない会議を断ったことがある。その日は期末の資料を仕上げるためにどうしても時間が必要だった。丁重に「この会議は欠席させてください」と返信した。翌日、上司から呼ばれた。

「なんで昨日の会議、出なかったの。あそこで決まったこと、お前にも関係あるんだけど」

「関係ある」の意味を聞いてみると、会議の最後の5分で次回の日程調整が行われており、そこに私も含まれていたということだった。5分のために1時間の会議に出るべきだったということだ。

それ以来、会議の案内が来たら基本的に断れなくなった。どの会議も「最後の5分に重要なことが決まるかもしれない」という言い訳が機能するからだ。これが「出ないとお前が悪い」会議の正体だった。

DATA — 「出ないとお前が悪い」が機能するメカニズム

①情報の非対称性:会議に出なかった人間は「何が決まったか」を後から確認しなければならない。出席者が全員いる中でリアルタイムで聞けばよかった話が、メールや口頭での確認作業に変わる。時間コストが増える。

②責任の所在:「その時いなかったから」という理由で、会議中に決まったことへの意見が言いにくくなる。出席していないことが暗黙の「同意」として扱われることがある。

③上司の印象:欠席を続けると「協力的でない」という評価が積み上がる。管理職にとってこの評価は無視できない。

このメカニズムを理解した上で、それでも「この会議は意味がない」と言い切れる管理職はどれほどいるだろうか。少なくとも当時の私にはできなかった。

意味のない会議が奪う5つのもの

「時間を無駄にした」という感覚だけではない。意味のない会議に出続けることで失われるものは、もっと多くあった。

① 集中する時間

本来の業務に向き合うためには、まとまった集中時間が必要だ。

1時間の会議が1本入るだけで、前後の30分は「会議モード」に頭が支配される。5本の会議があれば、実質的に集中できる時間はほぼゼロになる。業務は夜の残業に押し出される。

② 仕事への意欲

「今日も何も決まらなかった」という感覚が積み重なっていく。

会議に出ても何も前に進まない、自分の意見は通らない、時間だけが消える——この繰り返しが、仕事へのモチベーションをじわじわと削っていった。気づいたらミスが増えた。注意力が落ちていた。

③ 成長の実感

会議に出ているだけでは何も身につかない。

手を動かして、考えて、作って、検証して——そのプロセスの中でしかスキルは育たない。会議漬けの日々が続くと、「自分は今年、何を身につけたのか」という問いへの答えが見つからなくなる。

④ プライベートの時間

日中の時間が会議に消えると、本来の業務は夜に押し出される。

月100時間の残業の一因は、確実にここにあった。家族との時間、休息、自分の時間——それらが会議の連鎖によって奪われていた。

⑤ 「自分で動いた」という感覚

最も地味で、最も深刻な損失だと思う。

会議に「出席した」だけでは、何かを「した」という感覚が残らない。1日の終わりに「今日、自分は何をしたのか」という問いへの答えが「会議に出た」だけになる。この繰り返しが、自己効力感を少しずつ壊していった。

若手の「正味作業」意識が管理職を追い詰めた

当時の職場では、「正味作業」という概念が広まっていた。会議や調整などの間接業務を減らし、実際に価値を生む作業(正味作業)に集中しよう——という考え方で、生産性向上の文脈で上から推進されていた。

その考え方自体は正しいと思う。問題は、若手社員がこれを「自分に都合よく解釈」し始めたことだった。

SCENE — 会議の欠席連絡

部門の定例会議の前日、若手のAから連絡が来た。「明日の定例ですが、今週は正味作業を優先したいので欠席します」。理由は理解できる。でも、その会議には彼が担当しているプロジェクトの進捗報告が含まれていた。

代わりに私が状況を説明することになった。詳細を把握するために彼にメッセージを送り、返信を待ち、内容をまとめ直す。この一連の作業で1時間かかった。彼は「正味作業を優先した」が、私の時間は減っていた。

これが常態化すると、「管理職が全部引き受ける」という構造になる。若手が断った会議、若手が後回しにした調整、若手が「正味作業ではない」と判断した雑務——それらが管理職に集約される。

「正味作業を優先しろ」という号令は、管理職には適用されない。管理職の仕事は調整と会議だからだ。結果として、若手の「正味作業」を守るために、管理職の時間が消費されるという皮肉な構図ができていた。

これが私の感じた限界点:若手の生産性を守るために存在する管理職が、自分の生産性を犠牲にし続けることが「正しい姿」なのか——その問いに、当時の私は答えを出せなかった。転職はその問いへの、ひとつの答えだった。

会議が転職の引き金になった理由

会議の問題だけで転職を決めたわけではない。残業、上司との関係、やりたい仕事への距離——それらが複合して転職を決めた。ただ、「会議への絶望」は、確実に決断を後押しした要因のひとつだ。

転職を考え始めたのは、ある夜に自分の手帳を見返したときだった。その日のページには、朝から夕方まで会議の名前が並んでいた。「自分がやった仕事」は一行も書いていなかった。

INNER VOICE — 手帳を見た夜

「今日、私は何をしたのか」

会議に出た。それだけだ。何かを作ったか? 何かを決めたか? 誰かの役に立ったか?

これが続いたら、私は何者になるのか。「会議に出続けた管理職」として定年を迎えるのか。それだけは嫌だと思った。

その夜から、転職を「いつかやること」ではなく「今やること」として考え始めた。会議への絶望は、転職活動のエンジンに変わった。

転職後、会議はどう変わったか

転職後の職場での会議は、性質が根本的に違った。参加者が少ない。議題が明確。何かが決まって終わる。関係のない人は呼ばれない。

最初は戸惑うほどだった。「この会議、私が出ていいですか?」と確認してしまったほどだ。前職では「呼ばれていない会議でも出席を求められる」ことがあったため、逆の感覚が身についていなかった。

転職後の職場で感じた最大の変化は、「会議が終わった後に何かが前に進む」という感覚だった。

前職の会議は「報告して終わり」か「話して何も決まらず終わり」がほとんどだった。転職後の会議は「決めて、次のアクションを確認して終わる」。この違いは、仕事への向き合い方まで変えた。会議がポジティブな時間に変わったのは、転職してから初めての経験だった。

残業も月100時間から約20時間に減った。会議の時間が減った分、日中に本来の業務ができるようになったことが大きい。夜を仕事に使わなくてよくなった。家族との時間が増えた。ごはんがおいしく感じるようになった——これは冗談ではなく、本当にそう感じた。

よくある質問(FAQ)

意味のない会議を断る方法はありますか?

当時の私には難しかった。

「出ないとお前が悪い」という空気がある職場では、個人の努力で会議文化を変えるのは限界がある。改善を試みるのは大事だが、変わらないなら「この会議文化がある組織で何年後の自分を見るか」を考えた方が建設的かもしれない。

会議が多い職場は管理職あるあるですか?

程度の差はあれ、管理職の宿命的な側面はある。

ただ「9割が自分がいなくても結果が変わらない会議」というのは、組織の問題だと思う。転職後の職場では会議の質が根本的に違った。会議の多さは、職場環境を見極める上でのひとつの指標になる。

会議の多さが転職の理由になりますか?面接で話してもいいですか?

「会議が多くて嫌だった」をそのまま話すのは避けた方がいい。

ネガティブな退職理由は印象が悪い。「より自分が成果に直結する仕事に向き合いたかった」「意思決定の速い環境で働きたかった」という前向きな言い方に変換すると、転職の軸として機能する。

転職後も会議が多い会社に入ってしまったら?

転職前に会議文化を確認することを強くすすめる。

面接で「1日あたりの会議時間はどのくらいですか?」「会議で何かが決まる場合、どういう流れで意思決定されますか?」と聞くと、職場の実態が見えてくる。私は転職時にこの点を確認した。

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