社外に出て気づいた『この会社はおかしい』|40代管理職が転職を考えた夜

この記事でわかること
  • 社外勉強会・交流会が「転職のきっかけ」になる本当の理由
  • 「会社がおかしい」と気づくサインと、その夜に感じた感情の正体
  • 外の世界を見ることで変わる「自分の会社への認識」の具体例
  • 勉強会参加が転職の準備として機能する理由(スキルより大事なこと)
  • 40代管理職が「外に出る」ことを躊躇する理由と、それでも出るべき理由

当時の私は、転職を考えてはいたが、まだ動けない状態が続いていた。毎月100時間近い残業をこなしながら、頭のどこかでは「このままでいいのか」という問いが消えなかった。でも仕事が忙しすぎて、何かを変える余力はなかった。

そんな時期に、同僚から「社外の勉強会があるんだけど、一緒に行かない?」と誘われた。IT系の異業種交流を兼ねたイベントで、参加費は3,000円ほど。内容はUI設計のトレンドだったと思う。正直、業務に直結するとも思えなかった。でも、「外の空気を吸えるかもしれない」という軽い気持ちで参加を決めた。

その判断が、転職を考える上での大きな転換点になるとは思っていなかった。

SCENE — 勉強会の会場

会場は渋谷のコワーキングスペースの一室だった。20人ほどが集まっていた。同世代もいれば、私より明らかに若い人もいた。スーツの人もいれば、カジュアルな服装の人もいる。自社とは違う空気があった。

講演が終わった後の懇親会で、隣に座った30代のデザイナーと話した。彼は某IT系スタートアップに勤めていると言っていた。仕事の話になった。そこで私は、気づかないうちに、自社の愚痴を話し始めていた。

目次

その夜、気づいてしまったこと

懇親会で私が話したのは、自分の職場の「日常」だった。月100時間の残業、週末も呼び出される環境、意味がわからない会議が1日に何本も入ること、部下に面白い仕事を取られて自分には地味な作業が回ってくること——。

話しながら、私はある違和感を覚えた。

隣のデザイナーの表情が、徐々に変わっていったのだ。驚きとも、同情とも取れる顔で私の話を聞いている。彼はやがてこう言った。

「……それ、普通じゃないですよ。うちの会社だったら、絶対そうならないですよ」

その一言が、頭から離れなかった。

私はそれまで、自分の職場環境を「きついけど仕方がない」と思っていた。管理職とはそういうものだ、大企業とはそういうものだ、と。でも外の人から見たら「普通じゃない」のだという事実を、その夜初めて突きつけられた。

INNER VOICE — あの夜の帰り道

電車の中で、スマートフォンの画面を見つめながらぼんやりしていた。窓の外の夜景がぼやけていた。

「うちの会社、おかしかったのか」

その思いが、ぐるぐると頭を回り続けた。家に帰っても、妻と話しながら、頭の中ではずっとあの言葉が響いていた。「普通じゃない」——。

あの夜を境に、私の「転職への迷い」の質が変わった。それまでは「転職したいが、できないかもしれない」という恐れが中心だった。でもあの夜からは「このまま続けることの方が怖い」という感覚に変わっていった。

「うちの会社がおかしい」と気づく5つのサイン

あの夜の体験を振り返ると、私が感じた「おかしさ」には共通するパターンがあった。これは私だけの話ではなく、転職後に他の人の話を聞いても似たような体験をしている人が多い。

① 外の人に話して初めて「異常さ」に気づく

社内にいるとそれが「普通」に見える。

月100時間残業も、週末の呼び出しも、毎日の無意味な会議も——「うちの会社はこういうものだ」と思い込んでいる。外の人に話して初めて「え、それ普通じゃないですよ」と言われて気づく。これが最も大きなサインだ。

② 外の人の「当たり前」が羨ましくて仕方がない

「残業は月20時間以内」「土日は完全に切り離せる」「やりたいプロジェクトに手を挙げられる」

——それを聞いた瞬間に、羨ましさを通り越して、なぜか怒りに近い感情が湧いてくる。それは「なぜ私はそれができないのか」という問いに直結しているからだ。

③ 外の人の「仕事の話」が楽しそうに聞こえる

自社では「仕事の話=愚痴か報告か言い訳」になっている。

でも外の人は仕事を楽しそうに語る。自分のプロジェクト、自分の成果、自分のやりたいことを前のめりで話す。そのギャップが、じわじわと効いてくる。

④ 帰り道に「もっと話したかった」と思う

会社の飲み会では、帰り道に充実感はない。むしろ疲弊する。

でも外の勉強会の帰り道は違う。「もっと話したかった」「また来たい」という気持ちが残る。これは、自分が本当に必要としているものが、社外にある証拠かもしれない。

⑤ 「比較の基準」が変わる

それまでは社内の人間関係や評価だけが基準だった。

でも外を知ると、「市場から見た自分の価値」「別の環境での自分」を考えるようになる。この視点の変化が、転職を現実として考えるきっかけになる。

この5つのうち、3つ以上に当てはまるなら、あなたの職場環境も「外の目線から見れば異常」である可能性が高い。それは不幸なことではなく、気づくことができたということだ。

外の世界を見ることで変わること・変わらないこと

社外の勉強会や交流会に出たからといって、すぐに転職が決まるわけではない。私自身、勉強会に参加し始めてから本格的な転職活動を始めるまで、1年以上かかっている。「外の世界を見た」だけでは、何も変わらない面もある。

BEFORE — 外を知る前

自社の環境が「つらい」とは思っていたが、「これが普通だ」と思い込んでいた。転職したいが、外の世界が見えないので、自分が通用するかどうかわからなかった。

AFTER — 外を知った後

「うちの会社が異常だった」と客観的に認識できた。自分が市場でどう見られるかの感覚が生まれた。転職が「夢」ではなく「選択肢」に変わった。

変わること

「比較の基準」が変わる。これが最も大きい。外の世界を知ることで、自社の「常識」が客観的に見えるようになる。月100時間残業が「特殊な環境」だとわかる。意味のない会議が「改善できる問題」だとわかる。自分の悩みが「転職すれば解決できる問題」と「転職しても変わらない問題」に分けて考えられるようになる。

「自分の価値」の解像度が上がる。外の人と話すと、自分のスキルや経験が意外と「珍しい」ことに気づく場合がある。私の場合、エンジニアとしての設計経験と管理職経験の両方を持っていることを、外の人に「それは強みになる」と言われた。社内では「普通のこと」だったが、外から見ると「差別化になる」ものだったのだ。

変わらないこと

ただ、外を知るだけでは「踏み出す勇気」は生まれない。私自身、外の世界を知ってからも、転職活動を本格化させるまでにかなりの時間がかかった。「気づき」は転職の必要条件だが、十分条件ではない。気づいた後に何をするかが、より重要だ。

DATA — 私が経験した「外を知る」プロセス

1年目:社外の勉強会・交流会への参加開始。「外の空気を吸う」感覚で参加。転職の意識はまだ低かった。

2年目:交流会での対話を通じて「うちの会社が異常」という認識が固まる。しかし具体的な行動にはまだ移せていなかった。

3年目:本格的な転職活動を開始。「外を知っていた」ことで、自己分析の解像度が上がっていた。転職後の世界のイメージが具体的だった。

勉強会は「転職の準備」として機能する

社外の勉強会に参加することは、転職活動の「準備」として、実はかなり有効に機能する。スキルを学ぶからではない。別の理由だ。

準備
「市場の目線」が身につく

外の人と話すことで、「今の転職市場でどんなスキルが求められているか」「自分のどの経験が価値になるか」という感覚が磨かれる。転職エージェントに頼る前に、自分でこの感覚を持っておくことが、後の自己分析に大きく役立った。

準備
「転職後の世界」の解像度が上がる

転職を考える多くの人が「転職した後のイメージ」を持てずに躊躇する。でも外の世界を知ることで、転職後の職場環境や仕事スタイルの「リアルなイメージ」が持てるようになる。これが転職への心理的ハードルを下げる。

準備
「話す練習」になる

勉強会での自己紹介や懇親会での会話は、面接の準備になる。自分のキャリアを「初めて会う人」に伝える経験を積むことで、転職面接での話し方が洗練されていく。私自身、社外での会話の経験が面接の受け答えに生きた実感がある。

準備
「本気度」の確認になる

勉強会に行くのが面倒になってくるか、それとも行くたびに「もっと行きたい」と思うか——この感覚自体が、転職への本気度を測るバロメーターになる。私の場合、参加するたびに「早く動きたい」という気持ちが強くなっていった。

重要:勉強会への参加は「動いている感」を得るためではない。「外の世界を知る」「市場の目線を持つ」「転職後のイメージを具体化する」という3つの目的のために行くべきだ。目的を持って参加するかどうかで、得られるものが大きく変わる。

40代管理職が外に出ることを躊躇する理由と現実

「社外の勉強会に出よう」と言うのは簡単だが、40代の管理職にはそれを難しくする理由がいくつかある。私自身も感じていたことだ。

躊躇する理由

理由
「時間がない」

月100時間残業の状況で、夜の勉強会に行ける余裕はなかった。それは事実だ。でも私は最終的に、昼休みを活用したり、定時で帰れる日を意図的に作ったりして参加するようにした。「時間がない」は事実だが、「作れない」ではなかった。

理由
「管理職なのに参加していいのか」という空気

これが意外と大きかった。社内で「勉強会に参加する」と言うと、「それより今の仕事を片付けろ」という雰囲気があった。でも外に出ることを制限する権利は、会社にはない。自分で判断して動くしかなかった。

理由
「若い人ばかりだったらどうしよう」という不安

実際に参加してみると、40代の参加者もそれなりにいた。むしろ「管理職の経験を持つ人」として興味を持って話しかけてくれる人もいた。この不安は、杞憂だった。

転職を成功させた後に振り返ると、「社外に出なかった3年間」が最も損失だったと思う。スキルの問題ではない。「外の世界の解像度が低いまま過ごした時間」が無駄だったということだ。

外の世界を知ることで、自分の市場価値も、転職の方向性も、面接での話し方も、すべてが変わった。1回の勉強会が、3年分の悩みより多くのことを教えてくれた。

もし今、転職を考えながらも動けない状態が続いているなら、一度だけ社外のイベントに参加してみてほしい。スキルを学ぶためではなく、「外の空気を吸う」ために。その夜に何かが変わる可能性がある。私がそうだったように。

よくある質問(FAQ)

社外の勉強会に参加するのが怖い。うまく話せる自信がない。

話すのがうまくなくても問題ない。

勉強会の目的は「話す」ことではなく「聞く」ことだ。外の人の話を聞くだけで、多くの気づきが得られる。最初は聞き役に徹するだけでもいい。私も最初の参加は緊張していたが、帰り道には「また来たい」と思っていた。

どんな勉強会に参加すればいいですか?

業界や職種は問わない。

自分が「気になる」と感じるテーマのものに参加すれば十分だ。connpassやPeatixなどのイベント情報サービスで検索できる。はじめは参加費が低い小規模なイベントが入りやすい。重要なのは「外の人と話す機会」があること。

勉強会に参加して「会社がおかしい」と気づいたら、すぐ転職すべきですか?

すぐに転職する必要はない。

まずは「気づき」を持つことが大事だ。気づいた後に、自分のやりたいことを整理し、自己分析を進め、エージェントへの相談と順を追って進めればいい。私自身、気づきから本格的な転職活動まで1年以上かかった。焦りは禁物だ。

40代で転職できるか不安です。社外勉強会で「自分は転職市場で通用しない」と感じたら?

40代管理職の経験は、市場価値として十分に通用する。

むしろ「管理職経験+専門スキル」の組み合わせは希少だ。ただし「管理職として転職したい」のか「職種を変えたい」のかによって、戦略は変わる。私のように職種を変えた場合は、自分の強みを再定義する準備が必要になる。その方法は「強みを再定義した実録」に詳しく書いた。

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「外の世界を知った」その次のステップとして、転職エージェントへの相談がある。エージェントに「売れる人材」だと思わせるための準備については、別の記事に詳しく書いた。まず無料登録だけでもしておくと、選択肢が広がる。

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