管理職を続けろと言われても転職した理由|40代が周囲の反対を越えた話

管理職を続けろと言われても転職した理由|40代が周囲の反対を越えた話
この記事でわかること
  • 転職活動中に「管理職として転職すべき」と言われる理由と、その言葉の意味
  • 「軸をズラす誘惑」——周囲の言葉に流されそうになった瞬間の実録
  • それでも企画職にこだわった根拠——何があったから軸を守れたか
  • 「管理職人材」として売られそうになったとき、私がエージェントに伝えたこと
  • 軸を守った結果どうなったか——転職後4年の現実

転職エージェントに登録した後の最初の面談で、担当者からこう言われた。「40代で管理職経験がある方は、管理職として転職した方が内定が出やすいです。企画職への未経験転職は、正直かなり難しい」。

その言葉は予想していた。「そうだろうな」と思った。でも私は「それでも企画職でお願いしたい」と答えた。担当者は少し困った顔をして、「わかりました。ただ、状況によっては管理職の求人も並行して見ていただくかもしれません」と言った。

INNER VOICE — 面談後の帰り道

「やっぱり難しいか」という思いはあった。でもそれ以上に「だからといって管理職で転職することに意味があるのか」という問いが頭にあった。

管理職として転職しても、また同じことの繰り返しになる可能性がある。年収は保てるかもしれない。でも「やりたいことができない」という根本が変わらない。それなら転職する意味が半減する。

エージェントの言葉は正しかった。市場の現実として「40代未経験の企画職転職は難しい」のは事実だ。でもそれが「やめる理由」にはならなかった。

目次

面接でも「マネジメント人材」として見られた

実際の面接でも、同じことが起きた。企画職として応募したにもかかわらず、面接の途中で「マネジメント経験が豊富なので、チームリードとしての役割を期待したい」という話になった会社が複数あった。

SCENE — ある面接でのやり取り

面接官が私の職務経歴書を見ながら言った。「管理職として豊富な経験をお持ちですね。うちでは今、チームをまとめてくれるリーダーを探しているんです。企画よりも、そちらでの活躍を期待したいのですが」。

空気が変わるのを感じた。「入れてあげてもいいが、それは企画職ではなく管理職として」というメッセージだった。私はその空気を読みながら、「私が希望しているのは企画職としての役割です」と答えた。面接官の表情が微妙に変わった。

その会社は通過しなかった。おそらく「企画職にこだわる管理職は使いにくい」と判断されたのだと思う。

この経験が続くと、「企画職へのこだわりを捨てれば内定が出るのではないか」という誘惑が生まれてくる。私もそれを感じた。

軸をズラしたくなった瞬間

転職活動が進む中で、最も軸がブレそうになったのは「3社連続で落ちたとき」だった。

立て続けに不採用通知が来た夜、私は「やはり企画職へのこだわりが邪魔をしているのではないか」と思った。「管理職として応募すれば通ったのかもしれない」という後悔に似た感情があった。

軸をズラしたくなった理由①:落ち続けることへの焦り

管理職として応募すれば、おそらくもっと通過率が上がる。

企画職にこだわることで、自ら選択肢を狭めているのではないかという焦りが積み重なっていった。

軸をズラしたくなった理由②:周囲からの「現実的になれ」という声

エージェント、面接官、そして頭の中の「現実的な自分」——いろんな方向から「管理職の方が現実的」という声が聞こえてくる。その声に流される感覚が生まれた。

軸をズラしたくなった理由③:家族への申し訳なさ

転職活動が長引くほど、家族に心配をかける。

「もし管理職として転職すれば早く終わるのでは」という計算が頭をよぎった。専業主婦の妻と子どもたちへの責任感が、軸を曲げる方向に引っ張った。

それでも軸をズラさなかったのは、「なぜ企画職なのか」という根拠が自分の中に明確にあったからだ。

それでも企画職にこだわった3つの根拠

「管理職で転職すれば楽になれる」という誘惑に勝てたのは、感情ではなく根拠があったからだ。

根拠
「管理職として転職しても、同じことの繰り返しになる」

管理職として転職しても、「管理するだけで自分の意見が通らない」「面白い仕事が来ない」という問題は解決しない。

転職先でも同じ状況になる可能性が高い。問題は「会社」ではなく「職種」にあった。

根拠
「自分には企画職で差別化できる武器がある」

エンジニアとして設計・実装・評価を一通り経験した私には、「企画の後工程を熟知した視点」という差別化があった。

企画職にずっといる人は後工程を知らない。夢物語の企画になりやすい。私はその弱点を補える人材だと確信していた。この確信が、軸を守る根拠になった。

根拠
「軸を曲げて入っても、後悔する」

「管理職として入社できても、またやりたくない仕事をすることになる」

——その未来は、現状と変わらない。転職のコスト(家族への心配、時間、精神的な疲弊)をかけて、何も変わらない未来を買うことはできなかった。

軸を守るための問い:「もし管理職として転職して、1年後に同じ状況になったら、自分は後悔しないか?」——この問いへの答えが「後悔する」であれば、軸を守る理由になる。私にとってこの答えは明確だった。

エージェントに「売り方を変えてほしい」と伝えた日

転職活動の中盤で、エージェントに直接伝えた。「管理職として紹介されることが続いていますが、私は企画職として応募したいです。売り方を変えてほしい」と。

具体的にお願いしたのは2つだ。

お願い
「私の強みを企画職向けに説明してほしい」

「管理職経験がある」という見せ方ではなく、「後工程を知ったエンジニア出身の企画職として差別化できる人材」という見せ方に変えるよう依頼した。

お願い
「企画職を採用している会社に絞って紹介してほしい」

管理職人材を求めている会社への紹介をやめてもらい、本当に企画職として採用する意図がある会社に絞るよう伝えた。

エージェントに「売れる人材」だと思わせた上で、「売られ方」まで自分で指定する。これが転職活動を主導するということだと実感した。

この依頼後、紹介される会社の質が変わった。「管理職的なポジション」ではなく、本当に企画を担当できるポジションへの紹介が増えた。

軸を守った結果どうなったか

企画職にこだわり続けた結果、内定を得た会社は「私がやりたかった仕事を、本当にやらせてくれる会社」だった。現地現物のお客様目線でデータ分析をして、商品や機能を企画する——これが私の軸だったが、転職先の業務内容がそれと一致していた。

転職後4年が経った今、管理職オファーも来た。でも断った。「管理職として転職した方がいい」という声に流されなかった自分への答えが、この「断れる状況」だと思っている。

軸を守ることは、短期的には選択肢を狭める。でも長期的には「本当にやりたい仕事で評価される」という結果につながる。「管理職の方が現実的」という声は、あなたの軸を守るかどうかを試す声だ。

転職活動中に「軸を曲げた方がいい」という声を聞かされたとき——その声が正しいかどうかより、「その声に従って転職した自分が、1年後に後悔しないか」を問う方が大事だ。

よくある質問(FAQ)

「管理職として転職した方がいい」というエージェントの言葉を信じるべきですか?

エージェントの言葉は市場の現実を反映していることが多く、無視すべきではない。

ただしエージェントは「転職しやすい求人を紹介する」インセンティブを持っている。「あなたのキャリアの軸は何か」という判断は、最終的に自分でするしかない。エージェントの意見は参考にしつつ、軸の判断は自分で持つことが重要だ。

未経験の企画職への転職で、何が差別化になりますか?

私の場合は「後工程を知ったエンジニア視点」だった。

企画職にずっといる人は実装・設計の制約を知らないため、夢物語の企画になりやすい。私はその弱点を補える人材として差別化できた。あなたの前職の経験が、企画職の「何を補えるか」を考えることが、差別化の出発点になる。

面接で「マネジメント人材として期待したい」という話になったとき、どう対応すべきですか?

私は正直に「私が希望しているのは企画職としての役割です」と答えた。

この答えで通らなかった会社もある。でもそれでいいと思っている。「企画職として採用する意図がない会社に入っても、入社後に同じ問題が起きる」からだ。軸を守った面接で落ちることは、むしろミスマッチを防ぐフィルターとして機能する。

RECOMMENDED

転職の軸を守りながら動くには、「自分の売り方を自分でコントロールする」スキルが重要だ。エージェントとの関係を対等に保つためにも、複数のエージェントに登録して比較することをすすめる。

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