転職エージェントは、あなたの味方だ。 でも最初から全力で動いてくれるわけではない。
これは批判ではない。エージェントのビジネスモデルを考えれば、当然のことだ。 エージェントの報酬は、紹介した人材が企業に採用された時に発生する。 つまり、「採用される可能性が高い人材」に、優先的に時間をかけるのは合理的な判断だ。
40代・管理職・未経験職種への転職希望—— この条件は、エージェントの目には「リスクの高い案件」として映る。 だから最初は、手を抜かれる。 私もそうだった。
問題は、その「最初の印象」をどう変えるかだ。 この記事は、その一点について書く。
最初の面談で何が起きているか、正直に書く
登録後、最初の面談に行った。 担当者は感じよく迎えてくれた。 ひととおり経歴を聞かれ、希望条件を聞かれ、求人を2〜3件紹介された。 30分で終わった。
求人票を眺めながら、私は違和感を覚えた。 紹介されたのはすべて、今の仕事と同じ業種・同じポジションだった。 「企画職に転換したい」という私の希望は、ほとんど反映されていなかった。
面談後、帰り道に思ったこと
担当者は悪い人ではなかった。でも、私のことを「理解しようとした」のではなく、「分類しようとした」と感じた。
40代・マルチメディア系・管理職経験あり。その属性に合う求人を出してきた。それだけだった。
私が何をやりたいかは、あの30分では伝わっていなかった。いや、伝える場すら与えられなかった。
これは私の経験だけではないと思っている。 40代の転職活動でエージェントを使った人の多くが、 最初に同じような「温度の低さ」を感じているはずだ。
問題は、その温度を上げるのは自分の仕事だということだ。 エージェントが自然に動き出すのを待っていたら、何も変わらない。
エージェントが「動く人材」と判断する条件
担当者の立場で考えてみた。 毎日、何十人もの登録者と面談をしている。 その中で、誰を優先的にサポートするかを判断しなければならない。
判断の基準は、おそらくこうだ。 「この人を企業に紹介した時、採用される可能性はどのくらいか。」
若い求職者は、ポテンシャルで売れる。 でも40代は違う。ポテンシャルではなく、実績で評価される。 「この人は何ができるのか」「転職先にどんな価値をもたらすか」—— その答えが明確でなければ、担当者は動きにくい。
逆に言えば、その答えを明確に示せれば、担当者は動く。 エージェントを「動かす」のではなく、「動きやすくする」のが正しい考え方だ。
面談の「温度」を変えた、3つの準備
1. 職務経歴書とは別の資料を持って行った
最も効果があったのは、これだ。 「自分にできること100個」をまとめた資料を、 職務経歴書とは別に作って持参した。
職務経歴書は「何をやってきたか」を示す書類だ。 でも担当者が本当に知りたいのは「何ができるか」であり、 さらにその先の「転職先に何をもたらせるか」だ。 その答えを、職務経歴書の形式の中に収めるのは難しい。
だから別の資料にした。 スキルと根拠エピソードをひもづけたA4数枚の資料を、 面談の冒頭で「これも参考にしてください」と差し出した。
担当者は最初、少し驚いた顔をした。そして資料を読み始めて、顔つきが変わった。「これを持ってきた人は、初めてです」と言われた。
2. 「やりたいこと」の前に「できること」を話した
順番を意識した。 最初の面談で「企画職がやりたい」と切り出すのは、 40代・未経験の場合は逆効果になりやすい。 「無茶を言っている人」という印象を与えてしまうからだ。
だから順番を変えた。 まず「自分にできること」を具体的に示す。 その上で「だから企画職に転換できると考えている」と話す。
❌ やりがちな順番
◎ 変えた順番
「企画職にチャレンジしたいんです」
→ 担当者の心の中:未経験なのに、難しい要望だな。
「設計から実装・評価まで経験し、企画の後工程を熟知しています。その視点を活かせる企画職を希望しています」
→ 担当者の心の中:なるほど、根拠がある。
3. 担当者に「考える材料」を渡した
面談の最後に、一枚だけ追加で渡したものがある。 「私が転職先に貢献できること」を、 企業側の視点で箇条書きにした一枚だ。
担当者は企業に人材を紹介する時、 「この人はこういう人材です」と説明しなければならない。 その説明の材料を、あらかじめ渡しておくことにした。
担当者の仕事を少し楽にする。 そうすることで、担当者は動きやすくなる。 エージェントとの関係は、サービスを受ける側ではなく、一緒に動く仲間として考えた方がうまくいく。
2回目の面談から、何が変わったか
資料を持参した翌週の面談は、別人のようだった。 同じ担当者なのに、まるで違う。
前回は「今と同じ業種・同じポジション」だった。今回は企画職のポジションが含まれていた。私の希望が、初めて反映されていた。
求人票を渡して終わり、ではなくなった。「この会社はこういう文化で、あなたのこのスキルが刺さる可能性がある」という説明が加わるようになった。
「この求人はどう思いますか」「この条件は譲れますか」という問いが来るようになった。一方通行ではなく、対話になった。
30分で終わっていた面談が、1時間を超えるようになった。担当者が、私のことを「理解しようとしている」のが伝わってきた。
私が変えたのは、資料の有無と話す順番だけだ。 でもその2つが、担当者の動き方をまるごと変えた。
それでも合わないと感じたら、変えていい
準備をして臨んでも、担当者との相性が合わないことはある。 私も一度、担当者の変更を申し出た。
変更を申し出たのは、2回面談をして「この担当者は私の希望を理解しようとしていない」と感じたからだ。 資料も渡した。順番も変えた。それでも紹介される求人が変わらなかった。
担当者の変更は、権利だ。遠慮する必要はない。
エージェントサービスを使い続けることと、担当者を変えることは、まったく別の話だ。 合わないと感じたら、早めに動いた方がいい。時間は有限だ。
担当者を変えた後の面談は、初回から手応えが違った。 「なぜ企画職なのか」を最初から深く聞いてくれた。 どのエージェントサービスを選ぶかと同じくらい、誰に担当してもらうかが重要だ。
エージェントは、準備した人間に動く
転職エージェントを「待つ場所」だと思っていると、うまくいかない。 向こうから良い求人が来るのを待つのではなく、 向こうが動きたくなる状態を自分で作る——それがエージェント活用の本質だ。
40代の転職は、若い世代より出せるものが多い。 経験も、実績も、視点も、持っている。 でもそれは、自分から示さなければ伝わらない。
担当者が「この人は売れる」と判断した瞬間から、 関係はWin-Winに変わる。 準備は、その判断を引き出すための投資だ。
動かないことにコストがかかるのと同じように、 準備しないことにもコストがかかる。 面談に手ぶらで行くたびに、可能性が少しずつ狭まっていく。
資料を準備した上で登録すると、最初の面談から手応えが変わる。 私が実際に使ったリクルートエージェントは、 準備して臨んだ2回目の面談から空気がまるで変わった。 まずは資料を作り、それから登録してほしい。


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