40代管理職の転職決断——上司の「もっと頑張れば」が、きっかけになった日。

この記事でわかること
  • 管理職なのにやりがいがない——その正体と、なぜそうなる構造的な理由
  • 「もっと頑張れば変わる」という上司の言葉を信じ続けた3年間の末に気づいたこと
  • 転職のきっかけになった「上司との会話」で何が起きたか——当事者の実体験
  • 40代・管理職が転職を決断する前に必ず考えるべき3つの問い
  • 「転職すべきか、今の会社で頑張るべきか」を自分で判断するためのチェックリスト

管理職になった。評価もされている。年収もそれなりにある。

でも、何かが違う。毎日がつまらない。やりがいを感じられない。

「もっと頑張れば変わる」と思ってきたが、もう何年も変わっていない。

転職を考えてはいるが、40代で転職なんてリスクが高いのではないかと躊躇している。

私は3年間、その状態だった。

この記事では、その3年間の末に何が起きたか、 そして転職して4年後にどうなったかを書く。

結論を先に言う。「もっと頑張れば変わる」は、多くの場合、変わらない。 

でも、その判断を感情ではなく根拠を持って下すための材料を、この記事で提供します。

転職するかどうかの決断は、読み終わった後にあなた自身で考えてみてください。

目次

管理職にやりがいがなくなる、構造的な理由

「管理職なのにやりがいがない」と感じている人に、まず伝えたいことがある。

それは、あなたが弱いからではないし、管理職に向いていないからでもない、ということだ。

管理職という役割には、やりがいが薄れやすくなる構造的な理由がある。

「作る」から「管理する」へ——仕事の性質が変わる

プレイヤーの頃、仕事には手ごたえがあった。

設計書を書く、問題を解決する、成果が形になる。「今日、自分はこれを作った」という実感があった。

管理職になると、仕事の性質が変わる。

会議に出る、判断する、部下を管理する、調整する。 一日の終わりに「今日、自分は何を作ったか」と問うと、答えが出てこない。 

管理職になった瞬間に失ったものについては、別の記事に詳しく書いた。

厚生労働省のデータが示す「管理職の不満」の実態

転職者が前職を辞めた理由(厚生労働省「令和2年転職者実態調査」)

1位:労働条件(賃金以外)がよくなかった(28.2%)

2位:会社の将来が不安だった(26.9%)

3位:賃金が低かった(23.4%)

4位:仕事の内容に不満(20.3%)

管理職層では「仕事の内容に不満」と「労働条件の悪化」が特に高く出る傾向がある。

月100時間残業でも残業代ゼロという管理職の構造的な問題が背景にある。

「やりがいがない」は怠けではなく、消耗のサインだ

管理職のやりがいのなさは、個人の問題ではない。

面白い仕事は若手の「成長機会」として回され、 誰もやりたがらない調整業務と会議が管理職に集まる構造がある。

面白い仕事は若手へ、面白くない仕事は自分へという記事でその構造を詳しく書いた。

問題は構造にある。だから個人がいくら「頑張れば変わる」と思っても、構造は変わらない。

転職のきっかけになった、上司との会話

その日、私は上司に相談を申し込んだ。 管理職になって3年が経っていた。 「このままでいいのか」という感覚を、もう誰かに話さずにはいられなかった。

上司は話を聞いてくれた。真剣に聞いてくれていた。 私は、今の仕事への不満と、もっとやりたいことへの思いを正直に話した。

上司はしばらく黙って、それからこう言った。

「もっと頑張れば、いつか変わるよ。」

その言葉が、何かを変えた。

怒りではなかった。失望でもなかった。 正確に言うと、「ああ、この会社では変わらないんだ」という静かな確信だった。

Todd

上司との会話の後、頭の中で起きたこと

上司は悪い人ではない。本当にそう思っている。あの言葉も、善意から来ていたと思う。

でも「もっと頑張れば」という言葉は、3年前にも聞いた。2年前にも聞いた。そして今日もまた聞いた。

3年間、頑張り続けた。変わらなかった。これ以上何を頑張れというのか。

その夜、初めて「転職」という言葉が、現実のものとして頭に入ってきた。

なぜ「もっと頑張れば」は転職のきっかけになるのか

「上司の言葉がきっかけで転職した」という話は、転職理由として非常に多い。 なぜ一言が決定打になるのか。

理由は、その言葉が「変わらないという現実の象徴」になるからだ。 問題は上司の言葉ではない。 その言葉を聞いた時に「やっぱり変わらない」と感じた自分の中の確信が、 ずっと前からあったことに気づく瞬間が来るのだ。

転職のきっかけとなった出来事(エン転職 2025年調査、有効回答3,107名)

「上司・会社との関係悪化」「給与への不満」「やりがいの喪失」が上位に。

特に30〜40代では「上司・職場との関係」を転職のきっかけとして挙げる割合が高い。

重要:転職理由の「上司」は、上司個人への不満というより「この会社・環境では変わらない」という確信のきっかけになっているケースが多い。

40代・管理職が転職を決断する前に考えるべき3つの問い

上司との会話の後、私はすぐには転職活動を始めなかった。 3つの問いに、自分なりの答えを出してからにしようと決めた。

問い
「やりがいがない」のは今の会社だけの問題か、それとも自分自身の問題か

環境を変えれば解決する問題と、自分の内側にある問題は区別する必要がある。 「どこに行っても同じだろう」という声は必ず出てくる。 でも「管理職という役割から離れてプレイヤーに戻れば変わるか?」と自問すると、 私の答えは「変わる」だった。それが転職の根拠になった。

問い
「もっと頑張れば変わる」は、あと何年続けられるか

「もっと頑張れば」という言葉を、あと1年信じられるか。3年信じられるか。 5年後の自分が今の仕事を続けていると想像した時、安心できるか、それとも絶望するか。 私は絶望を感じた。その感覚に、正直になることが重要だ。

問い
動かないことのコストを、計算したか

転職のリスクを考える人は多いが、転職しないことのリスクを計算する人は少ない。 モチベーションが戻らないまま働き続けることによるキャリアの停滞、 じわじわと削られる気力、それが家族に与える影響—— 動かないことにもコストがかかる。その計算を、一度やってほしい。

転職すべきか診断——管理職の「転職サイン」7つのチェックリスト

「自分は転職すべきかどうか」という問いへの答えは、感情だけで出すべきではない。 以下の7つの項目を確認してほしい。

チェック:当てはまるものに印をつけてください
  • 「今日、自分は何を作ったか」という問いに、答えられない日が週3日以上ある
  • 「頑張れば変わる」という言葉を、2年以上信じ続けている
  • 仕事への純粋な興味が、管理職になる前より明らかに薄れている
  • 上司や会社に、自分の本音を話せる機会・環境がない
  • 「5年後も今と同じ仕事をしていると想像した時」に安心感ではなく絶望を感じる
  • 面白い仕事は若手に回り、面白くない仕事だけが自分に集まっている
  • 「転職したい」という気持ちが、3ヶ月以上消えていない

3つ以上:
転職を本格的に検討する段階にある可能性が高い。まずエージェントに相談して市場価値を確認することをすすめる。

5つ以上:
現状維持を続けることのコストが、転職のリスクを上回っている可能性が高い。

全て:
私がそうだった。転職後4年、後悔はない。

このチェックリストは「転職しなさい」と促すものではない。
「今の状況を客観的に見るための鏡」として使ってほしい。 感情ではなく、根拠を持って判断するためのツールだ。

転職を決めた後、最初にやったこと

上司との会話の夜、私は「転職する」と決めた。 でも決めた後も、すぐには動かなかった。 まず、自分にできることを整理することにした。

3年間「頑張れば変わる」と言い聞かせていた自分には、 「自分に何ができるのか」という問いへの答えが、ぼんやりしていた。 転職を決めた時、「企画職に行きたい」という気持ちはあった。 でも「なぜ自分が企画職に行けるのか」の根拠が、言葉になっていなかった。

その根拠を作る作業から、転職活動が始まった。 「できること100個」を書き出すという作業だ。 転職を決意した人間が最初にやるべきことは、履歴書でも求人サイトの登録でもない。 「自分には何ができるか」を言葉にすることだ。

転職を決めた夜と、転職活動を始めた日は、別の日だった。その間に、自分の棚卸しがあった。

40代管理職の転職——よくある質問

上司が原因で転職を考えているが、それは「逃げ」ではないか?

「逃げ」かどうかは、転職の理由の中身による。「上司が嫌いだから逃げる」のと「この環境では自分がやりたいことができないと確信した」のは、根本的に違います。転職面接でも同様で、「上司との関係」を理由に挙げること自体は問題ではなく、「だから何をしたいのか」という前向きな理由とセットで話せるかどうかが重要です。

40代での転職は、本当にリスクが高いのか?

リスクはある。でも転職しないリスクも同じくらいある。厚生労働省のデータでは、40〜44歳で転職した人の41.3%が年収増加を実現しています。リスクを「転職する側だけのもの」として見るのは誤りです。「動かないことのコスト」を計算した上で判断することをすすめます。

「管理職 やりがいない」と感じるのは、甘えではないか?

甘えではありません。管理職にやりがいが生まれにくい構造的な理由があります。面白い仕事は若手に回り、調整業務だけが残る。残業代がなくなり時給は下がる。部下の失敗を背負う。この構造は個人の努力で変えられるものではありません。「甘えだ」と言い聞かせて我慢し続けることの方が、長期的には自分にとっても組織にとってもコストが高いことが多いです。

転職のきっかけが「上司の言葉」の場合、面接でどう伝えるか?

「上司にこう言われた」という事実ではなく、「その言葉で何に気づいたか」を話すことが重要です。例:「上司との会話で、今の環境では自分がやりたいことを実現することが難しいと確信した。そこで改めて自分のやりたいこととできることを整理し、御社の企画職への転換を決めた」という形で、前向きな理由とセットで伝えることで、マイナス印象を避けられます。

40代で転職を決断した後、最初に何をすればよいか?

求人サイトの登録よりも先に「自分にできることの棚卸し」をすることをすすめます。40代の転職は「ポテンシャル」ではなく「今何ができるか」で評価されます。できること100個を書き出し、それをエージェントに資料として渡す準備ができた時点で登録すると、面談の質が大きく変わります。詳しくは「できること100個」の書き出し方の記事を読んでください。

転職を考え始めたら

「転職しようか」という段階でも、エージェントへの相談は有効だ。 自分の市場価値を客観的に知ることで、「転職すべきかどうか」の判断材料が増える。 リクルートエージェントへの登録は無料で、相談だけでも現在地が見えてくる。

リクルートエージェントに相談する(無料)

Next Article

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次