転職エージェントに「未経験で企画職希望」と言った瞬間に何が起きたか

この記事でわかること
  • 「未経験で企画職希望」とエージェントに告げた瞬間の、実際の反応と場の空気
  • 40代・未経験転職をエージェントがどう見ているか——ビジネス構造から読み解く現実
  • 「難しいですね」と言われた後に、何をどう変えたか
  • エージェントの反応が一変した「あの瞬間」——何を見せたら空気が変わったか
  • 未経験職種を希望する40代が、エージェントに本気で動いてもらうための具体的な順序

転職エージェントの個室に入った。 担当者が「本日はどのようなご希望でお越しですか?」と聞いた。 私は答えた。

SCENE / 最初の面談室

「エンジニアの管理職をしていますが、企画職に転職したいと思っています。」

担当者の手が、一瞬止まった。

「……企画職、ですか。今のご経歴は、設計・管理職ということですね。企画は、ご経験は?」

「ありません。」

また、少し間があった。

「そうですか……。企画職は、競争率も高く、特に未経験からですと、なかなか難しい面もありまして……。」

「難しい」という言葉は、オブラートに包まれていた。 でもその言葉の意味することは、はっきりとわかった。

「あなたを企画職に紹介するのは、うちには難しい。」

それが、私が「未経験で企画職希望」と告げた瞬間の、最初の反応だった。

DATA / 40代・未経験転職の実態

リクルートワークス研究所の調査によると、転職活動において「希望職種が前職と異なる」転職者の書類選考通過率は、同職種転職者と比べて平均で約30〜40%低い。さらに40代では、同年代の同職種転職者との比較でも書類選考の通過率に大きな差が出る。

転職エージェントにとって、「40代・未経験職種希望」は成約難易度の高い案件として認識されることが多い。エージェントの収益は成約報酬であるため、難易度の高い案件には優先度が下がりやすい構造がある。

目次

エージェントが「難しい」と言う、本当の理由

「難しいですね」という言葉を、最初は「自分の経歴が弱いからだ」と受け取っていた。 でも複数のエージェントと話を重ねていくうちに、別の構造が見えてきた。

エージェントが「難しい」と言う理由は、私の能力の評価ではなく、ビジネス上のリスク計算だということだ。

転職エージェントのビジネスモデルを理解することが、最初の一歩だった。

エージェントは、求職者が企業に採用された時に、企業から報酬を受け取る。報酬は年収の一定割合だ。つまりエージェントの収益は「成約数」と「成約した人の年収」で決まる。

「難しい案件」は、時間と労力をかけても成約しないリスクが高い。だから担当者個人の感情とは関係なく、優先度が下がる。

「難しいですね」は、「あなたには無理です」ではなく、「うちでは優先して動けません」という意味だ。その違いを理解してから、私の戦略は変わった。

つまり問題は、「私が未経験であること」ではなかった。 問題は、「私がエージェントにとって投資する価値のある人材に見えていなかったこと」だった。

この認識の転換が、すべての起点になった。

複数エージェントで経験した、反応の3パターン

転職活動の期間中、私はリクルートエージェント・ビズリーチ・doda等、複数のエージェントと接触した。 「未経験で企画職希望」に対する反応は、大きく3つのパターンに分かれた。

パターン
「難しいですね」で終わる

最も多かったのがこのパターン。

「企画職はご経験がないと書類選考も通りにくくて……」という言葉の後、同職種(設計・管理職)の求人を2〜3件紹介して面談終了。私のやりたいことへの掘り下げは一切なく、30分で終わった。担当者の頭の中では最初から「この人は同職種で紹介」と決まっていた。

パターン
「まずは今の職種で経験を積んでは」と言われる

表面上は親身に聞いてくれているように見えたが、結局は「今の職種で転職して、転職先で企画に近い仕事をするという方法もある」という方向に誘導された。

「未経験職種」という難易度の高い案件を、「経験職種転職+社内異動」に置き換えようとするパターン。一見合理的に聞こえるが、私が求めていた答えではなかった。

パターン
「なるほど、それならわかります」と言われる

これが、「できること100個」の資料を見せた後に起きた変化だ。

資料を渡す前は同様に「難しい」という反応だった担当者が、要約版の資料を10分で読んだ後、「なるほど、エンジニア経験が企画職の差別化になるということですね。それなら紹介できる会社があります」と言った。同じ担当者が、同じ日に、完全に反応が変わった。

INNER VOICE / パターン①②を経験した後に思ったこと

「難しい」と言われるたびに、自分の選択が間違っているのかと感じた。

企画職を希望することは無謀なのか。40代で未経験職種に転職しようとすること自体が、現実を見ていないのか。

でも心の底では、諦める気にはなれなかった。設計者として10年近く感じ続けてきた「この企画は本当にお客様のためになっているのか」という問いの答えを、自分で出したかった。

問題は「エージェントへの伝え方」だ。そう気づいてから、戦略が変わった。

空気が変わった瞬間——何を見せたら態度が変わったか

転換点は、職務経歴書とは別に「自分にできること100個」と「それぞれの根拠」をまとめた資料を作り、エージェントに提出した日だった。

資料の内容については「できること100個の書き出し方」に詳しく書いたので、ここでは「渡した瞬間に何が変わったか」に絞って書く。

SCENE / 資料を渡した日の面談室

「これ、今日持ってきました。職務経歴書とは別に、自分にできることを整理した資料です。」

担当者は少し驚いた顔で資料を受け取り、黙って読み始めた。

10分ほど経って、顔を上げた。

「……これ、ご自身で作ったんですか。」

「はい。」

「エンジニア経験が企画職の差別化になる、という観点で整理されているんですね。」

「そうです。後工程を知っている人間が企画職に立つことの価値を、具体的な根拠とともにまとめました。」

しばらく沈黙があった後、担当者は言った。

なるほど。それなら、いくつか紹介できる会社があります。

同じ「未経験で企画職希望」という事実は変わっていない。 変わったのは「エージェントにとって、私が投資する価値のある人材に見えたかどうか」だけだった。

資料を渡す前の面談

「未経験で企画職は難しいですね」

→同職種の求人2〜3件紹介

→30分で終了。担当者のテンションが低い。

資料を渡した後の面談

「なるほど、それなら紹介できる会社があります」

→企画職の求人を具体的に提案

→「他にもこういう会社はどうですか」と担当者から逆提案。

担当者の姿勢

淡々と話を進める。こちらの希望を掘り下げる質問がない。早く終わらせたい空気。

担当者の姿勢

「この会社の企画部はこういう人材を求めていて……」と詳しく説明してくれる。こちらの条件を聞きながら調整してくれる。

この変化は、担当者個人の性格が変わったのではない。 私が「成約の可能性がある人材」として認識されたことで、担当者の行動が変わった。 それだけのことだ。

「未経験です」は弱点ではなく、差別化の文脈で語れるかどうかの問題だった。同じ「未経験」でも、なぜ未経験なのにできると言えるのかの根拠を持っているかどうかで、エージェントの反応は180度変わる。

未経験転職をエージェントに動かしてもらう、正しい順序

経験を通じて、「未経験職種への転職でエージェントを動かす」ために必要な順序が見えてきた。 やりたいことを最初に言う、という順序が最も損だということだ。

STEP
まず「できること」を具体的に見せる

最初の面談で「企画職がやりたい」という希望を出す前に、「自分にできること」を資料で示す。

エージェントが最初に評価するのは「この人を企業に紹介できるか」だ。「やりたい」は動機の話であって、エージェントにとっての価値の話ではない。「できること」を先に見せることで、エージェントの中に「投資できる人材」という認識が生まれる。

STEP
「できること」が評価された後で「やりたいこと」を出す

資料に興味を持ってもらえたら、そこで初めて「だから企画職がやりたい」という希望を話す。

この順序で話すと、エージェントは「この人のできることと、企画職への転換には、ちゃんと根拠がある」と受け取る。最初から「企画職希望」と言うのと、「できることを見せてから企画職希望」と言うのとでは、同じ言葉でも受け取られ方が別次元になる。

STEP
「なぜ未経験なのにできると言えるか」の差別化軸を一言で言えるようにする

私の場合は「後工程を知るエンジニアが企画を立てる、という差別化」だった。

この一言が言えるかどうかが、面談の空気を変える決定打になった。「未経験だが企画が好き」という熱量の話ではなく、「未経験だからこそ持っている視点がある」という構造の話ができるかどうかが鍵だ。この言語化がない状態でエージェントに会っても、「難しいですね」で終わる。

STEP
担当者が「難しい」と言い続けるなら、担当者を変える

エージェントは組織であり、担当者によって専門領域も人材の見方も異なる。

資料を見せても動いてくれない担当者には、担当変更を申し出るか、別のエージェントに行く判断も必要だ。私は最終的にリクルートエージェントの担当者との相性が良かったが、それも複数の担当者と接触した末に見えてきた。「担当者のせいにする」のではなく、「合う担当者を探す」という発想が重要だ。

あの「難しいですね」から学んだこと

「難しいですね」という言葉を最初に聞いた時、私は傷ついた。 40代という年齢と、未経験という事実が、一気に重くのしかかってきた気がした。

でも今振り返ると、あの言葉は正直な反応だったと思う。 「難しい」は「できない」ではなかった。 「今の状態では、私には動けない」という意味だった。

エージェントを変えようとする前に、エージェントの目に映る自分を変えることが先だった。資料一枚で、場の空気は変わった。

未経験転職の最初の壁は、採用企業ではなくエージェントだ。 エージェントに動いてもらえなければ、面接の機会すら生まれない。 だから、エージェントという壁をどう乗り越えるかを考えることが、転職活動の最初のステップになる。

「できること100個」の資料は、私にとってエージェントという最初の壁を突破するための鍵だった。 そして同時に、自分が何者であるかを初めて言語化できた経験でもあった。

「未経験で企画職希望」という言葉は、何も変わっていない。 でも、その言葉に根拠と文脈を持たせることができた時、 エージェントの「難しいですね」は「なるほど、それなら」に変わった。

よくある質問(FAQ)

転職エージェントに未経験職種を希望したら、相手にされませんでした。どうすれば良いですか?

エージェントが動かない最大の理由は「成約の可能性が見えない」からです。

まず「なぜ未経験なのに希望職種でできることがあるか」を具体的な根拠つきで示す資料を作ることが最初のステップです。職務経歴書とは別に、過去の経験が希望職種でどう活きるかを翻訳した資料を持参すると、同じエージェントでも反応が変わることが多いです。

40代で未経験職種への転職は本当に可能ですか?

可能です。

ただし「ポテンシャルで採用してもらえる」という期待は捨てる必要があります。40代の未経験転職で成功するには、過去の経験が希望職種でどう差別化になるかを明確に示せるかどうかが鍵です。私の場合は「後工程を知るエンジニアが企画を立てることの差別化」が具体的な根拠になりました。「未経験だからこそ持っている視点」を言語化できるかどうかが、40代の未経験転職を可能にする条件です。

どのエージェントが40代の未経験転職に強いですか?

エージェント会社よりも、担当者との相性と担当者の専門領域の方が影響が大きいです。

私はリクルートエージェントで親身に動いてもらえる担当者に出会いました。ただし最初の担当者が合わないと感じたら、担当変更を申し出ることをためらわないでください。複数のエージェントを並行して使い、相性の良い担当者を探すことも有効です。

「できること100個」の資料は、エージェントに必ず提出すべきですか?

全員に必須とは言いませんが、未経験職種への転職を希望する場合は効果的です。

特に「難しいですね」と言われた経験がある方には強くおすすめします。資料の量より「10分で読める要約版」を作ることが重要で、担当者に読む負担をかけないことが大切です。作り方の詳細はB-2「できること100個の書き出し方」で公開しています。

エージェントに「管理職として転職した方がいい」と言われ続けています。

エージェントが「管理職で転職した方がいい」と言うのは、管理職の方が成約しやすいからです。

あなたの幸福のためではなく、エージェントの成約率のための提案である場合があります。自分の軸を持ち、「管理職は希望していません」と明確に伝えることが重要です。それでも「難しい」を繰り返すエージェントとは、相性が合っていません。担当変更または別のエージェントへ移ることを検討してください。

未経験転職を本気で動かしたいなら

「難しいですね」を何度言われても、伝え方と準備次第でエージェントの反応は変わる。リクルートエージェントは、私が最終的に企画職の内定を得た際に動いてくれたエージェントだ。まずは一度、話してみることを勧める。

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