転職の迷いが消えた「仕事の相性リスト」——合う仕事・合わない仕事を書き出して点数化したら、軸が見えた【40代実録】

転職の迷いが消えた「仕事の相性リスト」——合う仕事・合わない仕事を書き出して点数化したら、軸が見えた【40代実録】
この記事でわかること
  • 「転職の軸」の前に必要な「仕事の相性リスト」——何が違うのか
  • 合う仕事・合わない仕事の書き出し方——5つのカテゴリと問いかけ
  • 実際に書き出した「相性リスト」の全内容——点数化して何が見えたか
  • リストの点数が「企画職を選ぶ根拠」にどうつながったか
  • 相性リストを転職活動に使う——エージェント面談・面接での活用法

転職を考え始めた人に対して、よく言われるアドバイスがある。 「まず転職の軸を決めましょう」というものだ。

正しい。でも私には、最初から使えなかった。

「転職の軸」を決めようとすると、「何を大切にするか」から考え始めることになる。 でも3年間漠然と迷っていた私には、「何を大切にするか」がそもそも言語化できていなかった。 軸を決めようとするたびに、「わからない」という壁に当たって止まった。

INNER VOICE / 「軸を決めよう」としては止まる、の繰り返し

転職の軸を決めようとした。「大切にしたいことは何か」と自問した。

年収? やりがい? 働き方? ……全部大切な気がする。優先順位がつけられない。

「企画職がやりたい」はある。でもなぜやりたいのか、なぜ自分に向いていると思うのか、言葉にならない。

「やりたい」という感情はある。でも「なぜ」の根拠がない。根拠がないまま軸を決めても、面接で崩れる気がして進めない。

この状態を打開したのが、「仕事の相性リスト」だった。

軸を「決める」のは難しい。でも、自分が今まで「合う」と感じた仕事と「合わない」と感じた仕事を「書き出す」ことは、誰にでもできる。 過去の経験から事実を集めて、そこから軸を「発見する」方が、ゼロから軸を「作る」より精度が高い。

「転職の軸を決めましょう」は正しい。でも軸は「考えて作るもの」ではなく「経験から発見するもの」だ。

「過去に合っていた仕事のパターン」と「過去に合わなかった仕事のパターン」を書き出すと、そこに軸の素材がある。

相性リストは、軸を発見するための原石の採掘作業だ。採掘せずに宝石を磨こうとしても、素材がない。まず掘り出すことが先だ。

DATA / 自己分析の手法と転職満足度の関係

リクルートワークス研究所の調査によると、転職後の満足度が高い人ほど転職活動中に「過去の経験の棚卸し」を実施していた割合が高く、満足度上位グループでは約71%が「合う・合わない仕事の整理を行った」と回答。一方、「転職先への希望条件リストだけを作った」人の転職後満足度は相対的に低い傾向がある。

「何が欲しいか」より「自分に何が合うか」から考える方が、転職後の満足度につながりやすい。

目次

相性リストの作り方——5つのカテゴリと問いかけ

相性リストを作る手順は4ステップだ。難しい自己分析は必要ない。 過去の経験を「思い出す」作業がほとんどだ。

「仕事の場面」を5カテゴリで書き出す

仕事の場面を

  • 人との関わり方
  • 作業の性質
  • 評価される場面
  • 苦痛を感じた場面
  • 時間を忘れた場面

の5カテゴリで書き出す。「仕事全体が合う・合わない」ではなく、「どの場面が合うか」を細分化することで精度が上がる。

各場面に「合う(+)」か「合わない(−)」かをつける

書き出した各場面について、自分にとって

「合う感覚があるか(+)」「合わない感覚があるか(−)」「どちらでもない(0)」

を判定する。感覚で判定して良い。正確さより、速さを優先する。

希望する職種でその場面があるかを確認する

「合う場面」が希望職種に多いほど相性が高く、「合わない場面」が多いほど相性が低い。

希望職種の求人票・社員インタビュー・実際に働いている人の話を参照して、「この場面はあるか」を確認する。

点数を合算して「相性スコア」を出す

「合う(+1)」「どちらでもない(0)」「合わない(−1)」として合算する。

希望職種での相性スコアと現職でのスコアを比較する。スコアが高ければ高いほど相性が良く、低ければ低いほど合わないということだ。数字にすることで、漠然とした感覚が可視化される。

実際に書いた相性リスト——全内容と点数を公開

私が実際に書いた相性リストをそのまま公開する。 現職(設計・管理職)と希望職種(企画職)について、各場面の相性を判定した。

カテゴリ
人との関わり方
仕事の場面現職での相性企画職での相性スコア差
複数の部署をまたいで調整する◎ 合う◎ 合う±0
アイデアを出し合う会議に参加する△ 合わない◎ 合う+2
お客様に近い立場で仕事をする△ 合わない◎ 合う+2
指示された内容を正確にこなす△ 合わない○ やや合う+1
チームをまとめるリーダー役を担う○ やや合う◎ 合う+1

カテゴリ① 小計+6

カテゴリ
作業の性質
仕事の場面現職での相性企画職での相性スコア差
0から何かを考えて形にする△ 合わない◎ 合う+2
決まったルールに沿って作業を進める◎ 合う△ 合わない−2
データを分析して判断を下す◎ 合う◎ 合う±0
複数の案から最善を選ぶ意思決定をする○ やや合う◎ 合う+1
長期間にわたる細かい管理作業をこなす△ 合わない△ 合わない±0

カテゴリ② 小計+1

カテゴリ
評価される場面
仕事の場面現職での相性企画職での相性スコア差
自分が提案したものが採用・承認される△ 合わない◎ 合う+2
正確さ・ミスのなさが評価される◎ 合う○ やや合う−1
自分が作ったものが市場に出る△ 合わない◎ 合う+2
チームの成果として評価される○ やや合う○ やや合う±0
スピードと量を評価される△ 合わない△ 合わない±0

カテゴリ③ 小計+3

カテゴリ
苦痛を感じた場面
仕事の場面現職での頻度企画職での頻度スコア差
「なぜこうするのか」が理解できない指示に従う毎日少ない+2
自分のアイデアが活かされない頻繁少ない+2
関与できない意思決定の結果を実行する毎日少ない+2
成果物が市場に出るまで関与できない毎日ない+2
優先度が低い作業を一人で処理する頻繁たまに+1

カテゴリ④ 小計+9

カテゴリ
時間を忘れた場面
仕事の場面現職での有無企画職での有無スコア差
「こうすればもっと良くなる」を考えている時稀に頻繁+2
複雑な課題の整理・構造化をしている時あるある±0
ユーザーの行動・反応を観察している時なしある+2
アイデアを文章や図で表現している時稀に頻繁+2
ルーティン作業を効率よくこなしている時ある稀に−1

カテゴリ⑤ 小計+5

総合スコア(企画職 vs 現職)+24

※ スコアはあくまで相対的な指標。絶対値ではなく「現職より企画職の方が相性が高いか」を判断するためのものだ。

点数化して初めて見えたもの

スコアを出した後、3つのことが明確になった。

見えた
「苦痛カテゴリ」のスコアが最も高かった——現職の問題の本質が見えた

カテゴリ④(苦痛を感じた場面)のスコアが+9と最も高かった。

これは「企画職の仕事が楽しそう」ではなく「現職での苦痛の原因が、企画職では構造的に少ない」という意味だ。「企画職に憧れている」という感情より、「現職の何が合っていないか」が数字で見えた。転職するなら「企画職が楽しそうだから」ではなく「現職での苦痛の構造的な原因を取り除けるから」という根拠になった。

見えた
マイナスのスコアも出た——企画職への過剰な期待が修正された

「決まったルールに沿って作業を進める(−2)」「正確さ・ミスのなさが評価される(−1)」など、企画職の方が相性が低い場面もあった。

企画職を「完璧な職場」として美化していた部分が数字で見えた。「企画職ならすべてが合う」という過剰な期待が、現実的なレベルに修正された。この修正は重要だ。過剰な期待のまま転職すると、転職後に「こんなはずじゃなかった」になりやすい。

見えた
総合スコア+24が「転職すべきか」への答えになった

スコアが高ければ転職すべき、低ければしなくていい——という単純な話ではない。

でも+24という数字は、「現職より企画職の方が相性が高い」という事実を、感情ではなく数字として示していた。「転職した方がいい気がする」という漠然とした感覚が、「25項目中20項目で企画職の方が相性が高い」という事実に変わった。この変化が、3年間続いた迷いを終わらせた。

感情は「企画が羨ましい」と言っていた。数字は「企画職の方が25項目中20項目で相性が高い」と言っていた。数字が出た時、初めて迷いが消えた。

相性リストを転職活動に使う

相性リストは自己分析のための道具だが、転職活動の実際の場面でも使えた。 エージェント面談と面接の2つの場面で、リストが機能した。

エージェント面談での使い方

エージェントに「なぜ企画職を希望するのか」と聞かれた時、 このリストを見せながら説明した。

SCENE / エージェント面談でリストを見せた時

「現職と企画職で、仕事の場面ごとに相性を点数化してみました。カテゴリ④の苦痛カテゴリが+9と一番高くて、現職での苦痛の原因の多くが企画職では構造的に少ないことがわかりました。」

担当者はリストをしばらく見た後、言った。

「これ、ちゃんと分析されていますね。感情ではなく根拠で話されているので、企業にも紹介しやすいです。」

その面談から、担当者が本気で求人を探してくれるようになった。

面接での使い方

「なぜ現職を辞めて企画職を志望するのですか」という面接の定番質問に、 リストの内容を使って答えた。

「企画職に憧れていたからではなく、現職での仕事の場面を分析した結果、企画職の方が自分の特性に合う場面が多いと判断しました」という答えは、感情ではなく分析に基づいているため、面接官の反応が「なぜ?」から「なるほど」に変わった。

相性リストが転職活動で機能する理由は、「感情ではなく根拠で話せるようになる」からだ。エージェントも面接官も、「やりたいから」という感情より「分析した結果、合う仕事だと判断したから」という根拠の方に、信頼を置く。

よくある質問(FAQ)

相性リストは転職の軸を決める前にやるべきですか?後にやるべきですか?

前にやることをおすすめします。

軸は「何を大切にするか」から作ろうとすると、ゼロから考える必要があり、迷いやすい。相性リストを先に作ると「自分に合う場面・合わない場面」が見えて、そこから自然に「大切にしたいこと」が浮かび上がります。相性リスト→軸の発見、という順番の方が精度が高く、迷いも少ないです。軸の設定方法は「転職の軸の見つけ方」に詳しく書いています。

相性リストの判定は感覚でいいですか? 客観的に判定する方法はありますか?

最初は感覚で判定して構いません。

完璧な客観性より「自分の正直な感覚」の方が精度が高いケースが多いです。ただし「なんとなく」ではなく「過去の具体的な経験を思い出しながら」判定することが重要です。「あの時に〇〇をしていた時、合うと感じたか?」という問いかけで判定すると、感覚より根拠のある判定になります。

スコアがほぼゼロ、あるいはマイナスだった場合は転職しない方がいいですか?

スコアが低い場合は2つの可能性があります。

  • 希望職種が本当に自分に合っていない
  • 希望職種の仕事内容をまだ正確に知らない

のどちらかです。スコアが低かった場合は、まず希望職種の実態をもう少し調べることをおすすめします。社員インタビュー・OB訪問・エージェントからの詳細情報を集めた後で、再度リストを作ってみてください。情報が増えると、スコアが変わることがあります。

希望職種が1つに絞れていない場合、複数の職種で比較できますか?

できます。

同じリストを複数の職種に当てはめてスコアを比較すると、「どの職種が自分に最も合うか」が数字で見えてきます。私の場合は企画職と他の職種(社内SE・技術営業)で比較しましたが、企画職が最もスコアが高かった。複数職種での比較は、「どれにするか迷っている」段階で特に有効です。

このリストと「できること100個」はどう組み合わせて使えばいいですか?

相性リストは「何が合うか(方向性)」、100個リストは「何ができるか(根拠)」を明確にするものです。

この2つを組み合わせると、「自分に合う仕事の方向性(相性リスト)×その方向性で使えるスキルの根拠(100個リスト)」という、エージェントと面接官の両方を動かす自己分析が完成します。

順番は、相性リスト→100個リスト軸の設定エージェント面談がおすすめです。

リストができたら次のステップへ

相性リストで「自分に合う仕事の方向性」が見えたら、エージェントに相談する準備が整っている。感情ではなく根拠で話せる状態でエージェントに会うと、面談の質が大きく変わる。

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