管理職のオファーを断った理由——転職した意味を守るために「NO」と言った話

管理職のオファーを断った理由——転職した意味を守るために「NO」と言った話

転職して4年目のことだ。

上司に呼ばれて、こう言われた。 「チームをまとめる立場になってほしい。 あなたの経験と人望があれば、マネージャーとしてやっていける。」

悪い話ではなかった。 評価されているということだし、期待されているということだ。 断る理由を探す方が、難しいような話だった。

でも私は、断った。

目次

オファーを聞いた瞬間、頭をよぎったもの

上司の言葉を聞きながら、頭の中に別の場面が浮かんだ。

前職での記憶

月100時間の残業。面白い仕事は若手へ回り、面白くない仕事だけが積み上がる。部下の失敗を背負い、自分の成果は上司のものになる。

「管理職なんだから当然だ」と言い聞かせながら、何かが少しずつ消えていった4年間。

あの感覚が、戻ってくる。

管理職が悪いわけではない。 向いている人間がなれば、それは良い仕事だ。 でも私は、管理職になった瞬間に失ったものを知っている。 手を動かす感覚。企画が形になる喜び。 「自分が作った」という実感。

転職したのは、それを取り戻すためだった。 管理職になれば、また同じものを失う。 それだけのことが、頭の中で瞬時に整理された。

それでも、一瞬迷った

断ると決めるまでに、少し時間があった。 正直に言うと、迷いがまったくなかったわけではない。

その夜、一人で考えたこと

断ることで、評価が下がるかもしれない。「使いにくい人間」と思われるかもしれない。

でも、管理職になることで、今やりたいことができなくなる。それは確かだ。

どちらのリスクを取るか。どちらのコストを払うか。

答えは、最初から決まっていた。

迷ったのは、断ることへの恐怖からだった。 「評価が下がるかもしれない」「期待に応えられなかった」という感覚。 でもその恐怖を丁寧に見ると、 「管理職になりたくない」という気持ちは、一度も揺らいでいなかった。

揺らいでいなかったなら、答えは決まっている。

どう断ったか

翌日、上司に答えを伝えた。 感謝の言葉から始めて、正直に話した。

「評価していただいていることは、本当にありがたいです。でも私は、プレイヤーとして企画を出し続けることに、今の自分の価値があると思っています。管理職になることで、それができなくなるなら、お断りしたいと思います。」

上司は少し驚いた顔をしたが、「わかった」と言った。 「ただ、またいつでも声をかける」とも言ってくれた。 断ったことで、評価が下がった感覚はなかった。 むしろ「この人は自分の軸を持っている」という見られ方になった気がした。

転職活動中に4社を断った経験が、ここでも活きた。 断ることは、関係を壊すことではない。 誠実に、理由を持って断ることは、信頼を作ることでもある。

軸を守ることは、我慢ではない

「管理職を断った」と言うと、「勇気がある」と言われることがある。 でも私には、勇気という感覚はなかった。

正確に言うと、選択肢が一つしかなかったのだ。 軸があったから、迷わなかった。 軸がなければ、あの瞬間に「どうしよう」と揺れていたと思う。

軸を守ることは、我慢ではない。
「何のために転職したのか」という問いへの答えを、日常の選択の中で確認し続けることだ。

転職活動中に見つけた軸は、転職した後も使い続けるものだ。 転職が終わった瞬間に役目を終えるわけではない。 転職先でも、「この仕事は軸に合うか」「この選択は軸からずれないか」という問いを、 ずっと持ち続けることになる。

管理職のオファーを断ったのは、その問いへの答えが「ずれる」だったからだ。 それだけのことだ。

最後に、このブログを読んでいるあなたへ

管理職になった瞬間に何かが終わった日から始まり、 上司の言葉で吹っ切れた日、 100個のできることを書き出した夜、 子どもに「大丈夫?」と言われた夜、 「ここだ」と思った面接、 初めての企画が世の中に出た日—— そして、管理職のオファーを断った今日まで。

転職は、終わりではなかった。 転職は、「自分はどう生きるか」という問いを、 より鮮明に持ち続けるための、一つの選択だった。

転職を迷っているあなたに、最後に一つだけ伝えたい。

動いた先に、答えがある。 動かない限り、問いだけが残る。

私は3年間、問いだけを抱えていた。 動き出してから、少しずつ答えが見えてきた。 転職後4年経った今も、まだ問い続けている。 でもその問いは、前職の頃の問いとは質が違う。

あの頃の問いは「なぜ自分はこんなに消耗しているのか」だった。
今の問いは「次に何を作るか」だ。

その違いが、転職して良かったと思う、一番の理由だ。

転職を考え始めたら

最初の一歩は、話すことだと思っている。 リクルートエージェントへの登録は無料で、 まだ決断できていなくても相談だけでも受け付けている。 あなたの「動き出す日」が、来ることを願っている。

リクルートエージェントに相談する(無料)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次