転職エージェントを「無料で使えるサービス」だと思っていると、 うまくいかない。
エージェントは慈善事業ではない。 ビジネスだ。 そのビジネスの構造を理解した上で動くと、 エージェントとの関係がまったく変わる。
この記事では、エージェントのビジネス構造と、 40代が「売れる人材」として扱われるための考え方を書く。 具体的な準備の方法は別の記事に書いた。 ここでは、その前提となる「考え方」に絞る。
エージェントのビジネス構造を、正直に書く
転職エージェントの収益は、求職者からではなく企業から得られる。 登録者が企業に採用された時に、企業から報酬を受け取る仕組みだ。 報酬額は、採用者の年収の一定割合であることが多い。
この構造から、エージェントの行動原理が見えてくる。
エージェントが優先的に動く人材の条件
- 企業に採用される可能性が高い人材
- 採用後に高い年収を得られる人材(報酬が高くなる)
- 早期に就職してくれる人材(回転率が上がる)
この3条件を満たすと判断された人間が、エージェントから優先的に時間をかけてもらえる。
これは批判ではない。合理的な判断だ。 問題は、40代・未経験職種への転職希望という条件が、 エージェントの目には最初「優先度が低い案件」として映ることだ。
採用される可能性が読めない。年収も不透明。 だから最初は、動いてもらえない。
「売れる人材」と思わせることが、出発点だ
エージェントに動いてもらうためには、 「この人は売れる」と判断させることが必要だ。
若い求職者は、ポテンシャルで売れる。 でも40代はポテンシャルだけでは動かない。 「転職先に何をもたらせるか」を、具体的に示す必要がある。
「売れる人材に見せる」という言い方は、 少し打算的に聞こえるかもしれない。 でも実態は、「自分の価値を相手の言語で伝える」ということだ。 未経験職種への転職で強みを再定義する作業と、 本質的に同じことだ。
エージェントに「売れる」と思わせることは、自己PRの上手い下手の話ではない。自分の価値を、相手が判断できる形に変換することだ。
Win-Win関係になるまでの、3段階
エージェントとの関係は、一度で変わるわけではない。 私が経験した3段階を書く。
第1段階——「売れるかどうかわからない人材」扱いの時期
登録直後から最初の数回の面談がこの段階だ。担当者は当たり障りなく対応してくれるが、求人の質は高くない。こちらの希望も深く聞いてもらえない。この段階でエージェントを見限るのは早い。まだ「売れる人材」と判断されていないだけだ。
第2段階——「売れると判断された」転換点
「できること100個」の資料を提出した後、空気が変わった。担当者が「この人は準備している」と判断した瞬間から、面談の質が変わった。紹介される求人が変わり、こちらの条件を聞いてくれるようになった。この転換点を作ることが、最初の目標だ。
第3段階——対等な「議論の場」になる時期
担当者が「この人を早く就職させたい」と思い始めると、関係が対等になる。求人の紹介だけでなく、「この企業はあなたに合うと思う理由」を説明してくれるようになる。面接後のフィードバックも詳しくなる。こちらの「NO」も受け入れてもらえるようになる。これがWin-Winの状態だ。
第3段階に入った頃に感じたこと
担当者が、私の条件を覚えていた。「前回話していた企業文化の話、これが近いと思って持ってきました」と言ってくれた。
最初の頃とは、まったく別の関係だった。
エージェントを「使うもの」だと思っていたが、この段階では「一緒に動く仲間」に近い感覚があった。
「やりたいこと」を出すタイミングが重要だ
エージェントとの関係で、もう一つ重要なことがある。 「やりたいこと」を伝えるタイミングだ。
最初の面談で「企画職がやりたい」と切り出すのは、 40代・未経験の場合は逆効果になりやすい。 「無茶を言っている人」という印象を与えてしまうからだ。
正しい順番は、「できること」を先に示し、 その後で「やりたいこと」を話すことだ。
「できること」が先、「やりたいこと」が後。
この順番を守ることで、「やりたいこと」に根拠が生まれる。 根拠のある希望は、エージェントも一緒に考えてくれる。
私が「企画職を希望している」と担当者に伝えたのは、 資料を提出して関係が変わってからだった。 担当者は「なるほど、それなら納得できます」と言った。 資料を持って行く前には出てこなかった言葉だ。
エージェントは「サービスを受ける場所」ではなく「一緒に動く仕組み」だ
転職エージェントを「何でもやってくれるサービス」だと思って臨むと、 期待外れで終わる。 受け身でいる限り、第1段階から動かない。
でも、エージェントのビジネス構造を理解して、 「売れる人材」として動いてもらうための準備をすると、 関係は対等になる。 そうなって初めて、エージェントは本当の意味で味方になる。
エージェントにとっては「就職してくれる人材」が必要だ。 私にとっては「良い求人を紹介してくれる担当者」が必要だった。
お互いが必要なものを持ち寄った時に、Win-Winの関係が生まれる。 その関係を作るための投資が、「できること100個」の資料だった。
どのサービスを使うかより、その関係を作れるかどうかの方が、 転職活動の結果を左右する。
Win-Win関係を作るための準備が整ったら、まず登録してほしい。 リクルートエージェントは、準備した上で臨むと 最初の面談から質が変わる。まず話してみることから始めてほしい。


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