月100時間残業しても、評価されなかった。

36歳で管理職になった時、残業代がなくなった。

当然だと思っていた。管理職とはそういうものだと。 でも実際に管理職として働き始めると、 残業代がなくなっただけでなく、働き方そのものが変わった。

月の残業時間が100時間に近づいても、それは「評価される働き」ではなかった。 管理職として「当たり前のこと」をしているだけだと見なされた。 残業代もなく、評価もなく、責任だけが積み上がっていった。

これは私の会社だけの話ではないと思っている。 管理職という制度が持つ、構造的な問題だ。

目次

管理職の「普通の1日」を書いておく

管理職になってから数年が経った頃の、ある平日の記録だ。 特別に忙しい日ではない。普通の日だ。

ある平日のタイムライン

7:00

出社。メールを確認すると、前日の夜に上司から指示が来ている。今日中に対応が必要な内容だが、詳細は不明。自分で考えて動くしかない。

9:00

チームの朝会。部下の一人が昨日のタスクを完了していない。理由を聞くと「想定より時間がかかった」。この遅れは、自分の管理責任になる。

10:00

意味のわからない会議に出席。自分がいなくても結論は変わらない。でも出ないと「なぜいないのか」と言われる。

12:00

昼休みに上司から呼ばれる。朝の指示の続き。やはり詳細は曖昧で、「あとは任せる」と言われる。丸投げだ。

14:00

若手が断った作業が回ってくる。「管理職がやるしかない」という空気になっている。面白くない作業だが、誰かがやらなければならない。

18:00

部下は定時で帰り始める。自分の仕事は終わっていない。上司から「今日の進捗は?」とメッセージが来る。

22:00

退社。これで普通の日だ。不具合が出た日や、上位からの急な指示が来た日はさらに長くなる。

この生活が、月単位で続いた。 土日も電話が鳴る。休日に呼び出されることもある。 でも月次の評価には、この残業時間は反映されない。 「管理職として当然のこと」だからだ。

管理職が消耗する、4つの構造的な理由

私が経験した理不尽さは、個人の問題ではなかった。 管理職という制度が持つ構造から来ていた。

残業代がなくなり、時給は下がる

管理職になった瞬間、残業代がゼロになる。月給は上がったが、働く時間も増えた。時給に換算すると、昇進前より下がっていた。「管理職になって給料が下がった」という感覚は、数字として正しかった。

組合に守られなくなる

組合員だった頃は、労働条件に関して組合が交渉の場を持っていた。管理職になった瞬間、その保護がなくなった。上位の指示に対して、異議を唱える正式なルートがなくなった。「言えない雰囲気」ではなく、「言う仕組みがない」状態になった。

部下の失敗が、自分の評価になる

部下が不具合を出せば、管理職が呼ばれる。部下が遅延を起こせば、管理職の進捗管理が問われる。自分がどれだけ丁寧に指示を出していても、結果に責任を取るのは管理職だ。部下の行動を完全にコントロールすることはできないのに、その結果だけを背負う。

面白い仕事は若手へ、面白くない仕事は自分に来る

若手の成長のために、面白いプロジェクトを任せる。それは正しいことだ。でもその結果、管理職に残るのは、若手が断った作業と、調整と、会議だけになる。「管理職になったら、好きな仕事ができる」という期待は、現実とは逆だった。

一番堪えたのは、残業でも評価でもなかった

月100時間の残業も、評価されないことも、つらかった。 でも一番堪えたのは、別のことだった。

「管理職なのに、何もできていない」という感覚が、毎日あった。

管理職になる前、私はプレイヤーとして設計の仕事をしていた。 仕様書を作り、問題を解決し、成果が形になる実感があった。 でも管理職になってからは、自分の手で何かを作ることがほとんどなくなった。

調整する、判断する、責任を取る——それが管理職の仕事だとわかっている。 でも一日の終わりに「今日、自分は何を作ったか」と問うと、 答えが出てこない日が続いた。

3年目の冬、手帳に書いた言葉

仕事をしているのに、何も残っていない気がする。

残業しても評価されない。部下の失敗を背負う。面白い仕事は回ってこない。

これが管理職というものなのか。それとも、私の会社だけがこうなのか。

どちらにしても、このまま続けることへの意味が、少しずつ消えていく。

この感覚が積み重なっていった先に、 上司への相談と、転職を決めた瞬間があった。

これは「管理職という制度」の問題か、「その会社」の問題か

転職後、この問いへの答えが少し見えた。

両方だ、というのが正直な答えだ。

管理職という制度が持つ構造的な問題——残業代ゼロ、組合からの離脱、部下の責任を背負う—— これは多くの会社で共通している。 でも「面白い仕事が回ってこない」「上司の丸投げ」「意味のない会議」—— これらは、会社や職場の文化による部分が大きい。

転職先でも、管理職のオファーは来た。断った。
管理職という制度の問題は、会社を変えても変わらない。だから、制度の外で戦う道を選んだ。

「管理職が嫌なら、もっと良い会社に転職すればいい」という考え方もある。 でも私が選んだのは、管理職という役割から離れることだった。 企画職への転換を考え始めたのも、そのプロセスの中にあった。

管理職の「当たり前」を、当たり前だと思わないでほしい

この記事を読んでいるあなたが、もし今の管理職の状況に消耗しているなら、 一つだけ伝えたいことがある。

その消耗は、あなたが弱いからではない。 構造的に、消耗するように設計されているのだ。

月100時間残業しても評価されない。 部下の失敗を背負う。面白い仕事は回ってこない。

それを「管理職として当然のこと」だと思い込まされていただけだ。 当然ではない。おかしいと感じる感覚の方が、正しい。

その感覚を持ち続けてほしい。 それが、動き出すための最初の一歩になる。

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