転職活動中、9社と面接をした。 そのうち4社に落ちた。 そして4社を、自分から断った。
断った理由は、年収だけではない。 態度、軸のズレ、直感——それぞれ違う理由で、「NO」と言った。
この記事では、断った4社の話を書く。 断ることは難しかった。 でも断った経験が、自分の軸をどこより鮮明にしてくれた。
断ることへの、心理的なハードルがあった
転職活動中、断ることへの心理的なハードルは思っていたより高かった。
在職中に時間を削りながら活動していたこともあり、 せっかく面接まで進んだ会社を断うことへの後ろめたさがあった。 「次の面接でもうまくいくとは限らない」という不安もあった。 「条件が完璧でなくても、入ってから変えればいい」という妥協の誘惑もあった。
断るかどうか迷った夜に書いたメモ
ここで妥協すれば、転職活動は早く終わる。家族への負担も減る。
でも、今の会社と同じ理由で辞めることになるかもしれない。
軸を曲げて入ることの方が、長期的なコストが高い。
軸を持っていることが、断る判断の支えになった。 「自分が何のために転職するのか」が明確だったから、 「これは違う」という判断ができた。 軸がなければ、断ることもできなかったと思う。
断った4社と、それぞれの理由
断った理由:会社の空気
面接室に通された瞬間から、違和感があった。 面接官の言葉の端々に「入れてあげてもいい」という雰囲気があった。 質問への答えに対して、ほとんど反応がない。 こちらが話している間、別の書類に目を落としていた。
面接が終わった後、廊下を歩きながら思った。 「この会社で毎日働くことを、想像できない。」 年収も条件も悪くなかった。でもその感覚は消えなかった。
断った理由:軸のズレ
求人票には「企画職」と書かれていた。 でも面接が進むにつれて、求めているのは「管理職経験者を企画部門に配置したい」 という意図だとわかってきた。 マネジメントの話ばかり聞かれた。チームをどう動かすか。部下をどう育てるか。
面接の途中で気づいた。 これは、今の会社で感じていた「管理するだけの仕事」と同じだ。 場所が変わるだけで、やることは変わらない。
転職した意味がなくなる。 その確信が来た時、断ることを決めた。
断った理由:条件面
転職で年収が下がることは、覚悟していた。 でも提示された年収は、家族と話し合って決めた最低ラインを下回っていた。
交渉を試みた。担当エージェントにも動いてもらった。 でも最終的に、会社側の提示は変わらなかった。 仕事の内容は魅力的だった。それだけに、断うのは惜しかった。
でも「生活を守ることと、やりたいことをやることは、両立できなければ意味がない」 という判断だった。 やりたいことを追いかけて、家族の生活が立ちいかなくなるのは、 本末転倒だ。
断った理由:直感と違和感
面接中、会社の説明が完璧すぎた。 課題を聞いても「特にない」と言う。 大変なことを聞いても「やりがいが大きい分、充実しています」と言う。 数字や具体的なエピソードが、ほとんど出てこなかった。
会社を批判したいわけではない。 でも、課題のない組織は存在しない。 それを言わない会社に入ることへの不信感が、拭えなかった。
入ってから「こんなはずではなかった」と思いたくなかった。 転職する理由の一つが「正直に話せない組織からの脱出」だったから、 同じ環境に入ることへの抵抗が強かった。
断った経験が、軸をさらに鮮明にした
4社を断った後、自分の軸がはっきりした感覚があった。
断ることは、「自分は何が嫌なのか」を明確にする作業でもある。 態度の悪い面接官のいる会社が嫌なら、「一緒に働く人の質」が軸にある。 管理職ポジションを断ったなら、「プレイヤーとして動ける仕事」が軸にある。 年収の折り合いをつけたなら、「生活の安定」も軸の一部だ。
「NO」と言うたびに、自分が「YES」と言えるものの輪郭が、少しずつはっきりしていった。
最終的に内定を承諾した会社は、 これまで断ってきた理由のどれにも当てはまらなかった。 面接官の態度は真剣で、課題も正直に話してくれて、 企画職として動ける環境があり、年収の条件も合った。 「ここだ」という確信は、4社を断ってきた経験の上に成り立っていた。
断ることは、妥協しないことだ
転職活動中、断ることへの罪悪感は常にあった。 エージェントの時間を使わせてしまった。 面接官の時間を使わせてしまった。 でも今は、断って正解だったと思っている。
断ることは、相手への失礼ではない。 お互いのミスマッチを早期に解消することだ。
軸に合わない会社に入って、また転職することになる方が、 すべての関係者にとってコストが高い。 断うことへの罪悪感より、軸を守ることへの誠実さの方が大事だ。
軸を持っていることが、断ることを可能にする。 軸がなければ、「なんとなく違う」という感覚を言葉にできない。 言葉にできなければ、断うことへの確信が持てない。 自己分析と面接対策は、断う力を育てる作業でもある。
断る判断ができるようになるには、選択肢が複数ある状態が必要だ。 リクルートエージェントに登録して複数の求人に触れることで、 比較する目が育ち、断う基準も見えてくる。


コメント